内容説明
太平洋戦争敗北の背景には、新しい組織論の欠如があった。英雄が歴史を作り出す時代は終わり、現代の組織においては、「際立った個人」より、総合的戦略としてのリーダー・シップが必要とされている。山本五十六、東條英機など大本営を担った軍部の重鎮たちはじめ彼らとともに日本軍の作戦行動に関与した指揮官と参謀の組合せ十三例をあげ、組織内におけるコンビネーションの重要性を学ぶ──経営者に欠かすことのできない、人材とは何かの一端を巧みな人間描写によって導きだす。
目次
板垣征四郎と石原莞爾
永田鉄山と小畑敏四郎
河辺正三と牟田口廉也
服部卓四郎と辻政信
岡敬純と石川信吾
永野修身と杉山元
山本五十六と黒島亀人
南雲忠一と草鹿龍之介
東条英機と嶋田繁太郎
小沢治三郎と栗田健男
山下奉文と武藤章
牛島満と長勇
米内光政と井上成美
天皇と大元帥
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かおりんご
46
歴史。やっと読み終わりました。中途半端な知識しかなかったので、どんなことをした人だったかを思い起こすのに苦労しました。最後の天皇と大元帥が一番興味深かったです。天皇陛下と太平洋戦争の関係も調べてみたいと思います。2016/06/05
てつのすけ
28
指揮官とそれを補佐する参謀は、あらゆる面で連携がとれていれば、最大限の力を発揮できるが、この関係性が良くなければマイナス方向に向かってしまう。ただし、関係性が良かったのだが、時期を失したために力が発揮できなかった山下奉文と武藤章のコンビもあるのだが。コンビとして捉えることにより、違った視点で理解できたと思う。2023/10/07
みやけん
21
基礎知識不足のため読むのに時間がかかった。もう少し近現代史について学ばないといけない。学校でも縄文時代や弥生時代より優先して教えるべき大事なコトだと思う。2016/01/01
とみやん📖
20
この夏の太平洋戦争もの二冊目。 物事の成り行きを総て人事や指揮官と参謀のコンビで語り尽くすことは不可能だが、その制約を加味して考えても良く分析整理された一冊。歴史のみならず組織や人事について考えさせられる。永田鉄山と小畑敏四郎、山本五十六と黒島亀人、山下奉文と武藤章、牛島満と長勇、米内光政と井上成美が特に考えさせらた。しかし何と言っても最終章の天皇と大元帥が白眉。明治憲法及び国体についての鋭い論考なのは間違いない。半藤さんは今年1月に亡くなってしまわれたが、この本もまた再読必死の名著。2021/08/22
RED FOX
16
強烈な長所と短所を併せ持つ昭和の軍人コンビが何をして何をしなかったか。一話がそんなに長くないので読みやすい。部下達、自分の組織、そして天皇と日本を背負う判断指示をする彼等の立場に思いを馳せました。2018/06/04