内容説明
抜討ちの達人関根半九郎は、許嫁を犯した上役を斬り、破牢して盗賊の群に落ちた。拾った女お民を連れて、殺人と強盗の凄惨な日々。やがて、最後の大仕事に失敗し、奉行所の追手、血みどろの仲間割れ、敵(かたき)たちとの対決、とすべての結着をつける時が迫って――。苦い人生を急ぐ男を、鮮烈に描く傑作他6編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kira
19
図書館本。七篇の短編集。「奸臣」は沼田万鬼斎を題材にした話で、長編『まぼろしの城』につながるものだった。読みたかった「清水一角」を読めたのはよかったが、赤穂浪士討入りのときに吉良上野介を最後まで守ったという一角が、酒癖の悪い人物だったのは意外だった。2023/12/02
星落秋風五丈原
17
同じ時の一角を、山田風太郎氏が取り上げています。 『妖説忠臣蔵』収録の「赤穂飛脚」がその作品です。 今度はそちらに目を転じます。 酒好きの侍として登場する清水一角は、江戸のごたごたからは無縁の、飄々とした雰囲気を漂わせています。さらには、 変事を知らせる赤穂への飛脚達を、「袖すりあうも他生の縁」と助けてすらいるのです。後に敵味方になる運命の彼等を。 あるはずがない。でも、あってもいい。いや、あった方がいい。こちらの気持ちが変わってゆくと同時に山風氏の虚像・一角が、池波氏の虚像・一角の苦悩を、風に飛ばし。2003/07/24
Porco
12
池波正太郎といえば『鬼平犯科帳』,『剣客商売』,『仕掛人・藤枝梅安』と、絵に描かれれば劇画なThe漢という市井のヒロイックな人物を書く作家というイメージだが、本集だと大名や名だたる武将が日向であれば、その日が当たらぬ陰の人物達が多い印象だ。内容自体も解説にもあったように感性に訴えかける、主役のキャラクターから内面を伺わせる形で実現させようとする作り方をしていた。2024/04/03
HIRO1970
12
⭐️⭐️⭐️正ちゃんの短編集の再編集物。既読のものもありましたが、それなりに楽しめました。2014/11/02
けやき
4
「奸臣」「霧に消えた影」「妻を売る寵臣」「清水一角」「番犬の平九郎」「猿鳴き峠」「抜討ち半九郎」の8編。 「妻を売る寵臣」は牧野成貞の献妻がテーマ。 僕もこのような状況に置かれた場合は死を決して諌める事はできず、妻を献上してしまうのではないかという思いを持ちました。 「番犬の平九郎」は人っていうのは簡単に善人・悪人に分けられないなってのをつくづく感じました。2009/03/30
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