内容説明
病に冒された婚約者の節子につき添い、“私たち”は高原のサナトリウムで、風変わりな愛の生活を始めた。小鳥がさえずり、山はバラ色に輝き、死の影におびえながらも、二人は残された時に幸福のすべてを見いだそうとする……。著者の体験に基づいて描かれた代表作「風立ちぬ」ほか三編を収める。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yuma Usui
22
宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」の原作となった本作。飛行機技師が主人公だった映画とは異なり、純粋にサナトリウム(療養所)での主人公(小説家)と節子の生活に焦点が当てられている。死を前にした生の喜びや互いへの感謝や思い遣りが感じられる内容で温かな気持ちになったが、喪失感もひとしお。また、著者の体験による話と知りより切ない気持ちになった。「幸福の思い出ほど幸福を妨げるものはない」は心にきた。2019/01/05
わった
19
内容は知っているけれどもちゃんと読んでないものを読んでみようシリーズ。生きているだけで幸せが溢れているんだという事を教えてくれる小説でした。それがだんだん崩れていく様子に苦しく思いながら読み進めていきました。また読み返したい一冊です。2016/09/01
チェ・ブンブン
17
ジブリ映画の予習。恐らく、この本とは全く違うストーリーだろう。しかし、この独特で美しい表現を美しく映像化できるのはやつしかいないと感じた。2013/06/30
作楽
15
サナトリウムでの儚い生活を描いたもの。風立ちぬって、ときどき出てきて、印象に残る。2017/02/19
しろ
10
☆7 愛に対する真摯さが見れる。死が見えているからこそ、その気持ちの純度が上がっているようで、ある意味羨ましい。生まれ方はみな一様だが、死に方はそれぞれ。その時に愛されて死ぬか、そうでないかで幸せだったかが決まるのかもしれない。人はだれか一人でも幸せに出来ればそこに生きる価値がある。生きる価値なんていう安易な言葉のために愛するわけではないけれど、そう思うし、そうでありたい。というちょっと恥ずかしいことを考えてしまう物語だった。他の三編もいい出来だった。橋本紡さんもこの作品が好きなんだろうなー。2010/11/10
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