内容説明
『新・平家物語』は一代の大作だけに、著者の意気ごみも格別であった。ふつうは編集部まかせの“前回までの梗概”も、著者自ら「筆間茶話」として執筆。筆休めに構想の一端を語り、史談人物論はもちろん、身近の雑記にも味わい深く、梗概以上の梗概として好評だった。近畿を中心に東北から中国、四国までの丹念な取材紀行が「新・平家今昔紀行」。源平ゆかりの地の今昔が才筆に躍る。
目次
新平家落穂集
新平家雑感
新・平家今昔紀行
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪野きずな
3
吉川英治先生の随筆は創作秘話や歴史観がでていて興味深い。2019/01/01
koz
3
本作を長編読破前に読めて良かった。これからシリーズを読む方は共に読むことをお薦めする。史実とされているものと、古典の叙事詩性の間で筆者がどのようにして創作したか語られているのが面白い。勝者が敗者について書いた歴史でいかに清盛という人間像が作られていったか、平家は源氏に敗れたが、文化の上ではついに勝っていた。また源氏の末路よりも平家滅亡の相のほうが、より以上、詩であった。との想いは、この小説の根幹をなすように思う2010/12/05
てり
1
「新・平家物語」著作当時のエッセイと取材旅行記など。昭和20年代半ば~30年代初頭のもので旅行記なども時代を感じる。興味深く感じたのは読者との距離の近さで、当時の大衆娯楽小説の存在感の大きさが感じられる。扱う情報の量も早さも桁違いにデカくなった現代よりも、著者~読者の関係性がはるかに濃密に感じられるのはなぜだろう。2021/04/04
半べえ (やればできる子)
1
★★★ 六興出版の旧単行本で読む