内容説明
大正14年に創刊された国民雑誌「キング」に発表されたこの作品で、従来の幾つかの筆名に別れを告げ、新たに吉川英治が誕生した。――美男で剣を見るのさえ身体がふるえる春日新九郎が、兄の仇、富田三家随一の名人、鐘巻自斎を相手に戦うまでの数々の辛苦と、剣難女難。――この一作が呼んだ反響、つづいて生まれた幾多の名作。本書は、吉川文学の輝かしい原点といえよう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
24
臆病で根性なしの主人公が紆余曲折を経て成長していく物語です。武蔵につながる部分もあります。娯楽小説なので要素は入れ込みすぎですが、それもまた良しです。2025/02/19
フミ
19
大正末に連載された、吉川英治先生の初期作とのことです。20歳でも前髪なままの、絵と笛が趣味の美青年が、兄が決闘で大怪我をしたことから、仇討のために剣の修行に出る。その先には悪党剣客、悪女、ヤクザ者、謎の富裕な女性など、次々に場面や人物が入れ替わり、チャンバラや色香で誘惑など…、なんだか、お徳用ハンバーグを一気食い(ゲップ)するような、忙しい話でした(^^; でも、「人物が次々に切り替わり剣劇」というのは、前半の水滸伝を思わせて楽しかったです。「関羽のような剣豪」も出て来て、無茶苦茶強かったですw2024/08/11
旗本多忙
15
福知山藩と隣国の宮津藩の競べ馬から事が起きる。毎年屈辱を味わう宮津藩は怒り心頭、馬では勝ち目がないので、剣で勝負を求めて来た。無双の剣客、鐘捲自斎の助力で福知山藩に勝った宮津藩。自斎の剣で兄を片輪者にされた新九郎は、斬り合いは愚か、刀すら持ったことのない前髪の美男子。許嫁に罵られ一念発起。何としても自斎に一太刀一本浴びせる思いで剣の修行に出たが‥‥剣で難儀、女人に難儀しながら流浪の旅を‥‥はたして本懐を遂げられるのか。2018/01/24
jima
9
吉川英治が初めてこの名を使い、1925年(大正14年)に創刊された『キング』に連載されて、本格的な作家の道を歩み始めた作品。吉川英治33歳。吉川英治歴史時代文庫全85巻の第1巻。ここから始まったのか。次から次へと盛りだくさん。読み疲れた。2013/03/28
そうたそ
7
★★☆☆☆ 吉川英治という名で書かれたはじめての作品にして出世作である本作。後の「鳴門秘帖」で更にその名を押し上げたとのこと。作風としては「鳴門秘帖」に似た大衆時代小説で、著者の代表作である「宮本武蔵」や「三国志」とは作風を異にする。テンポよく話は進むが、個人的には「鳴門秘帖」と同じくあまりハマれず。とにかくなんでもあり、というくらいに豪快に進んでいくストーリーにあまりついていけなかった。「鳴門秘帖」が面白かった人にはおすすめできる。2025/02/12
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