内容説明
著者は終生、捕物帳には筆を染めなかった。しかし、捕物帳的な傾向の作品といえば、本書が筆頭であろう。十手捕縄をとって30年、捕物の神様とうたわれた名与力・塙江漢が、突如、暴風のように襲った悪魔により晩年の幸福を引きちぎられ、伜郁次郎を獄門に送らねばならぬ悶々の胸中。――これは捕物帳とは一線を劃す捕物帳である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ともくん
51
吉川英治、唯一の捕物帖。 現代で言う、大どんでん返し。 だが、そこに至るまでが、無理矢理こじつけている感じがする。 けれど、ワクワクしながら読めるのが吉川英治の凄いところ。2020/05/13
jima
18
昭和6年の作品。吉川英治は「終生、純然たる捕物帳に筆を染めなかった」そうだが、その意味では異例の作品か。2014/12/16
tonbei
2
久しぶりの日本の小説。時間の合間に読んだので一か月以上かかった。いい意味での娯楽小説。もしくは大衆小説。1930年代の出版で表現のふるさも味わい深い。と同時に、単語レベルでわからないことも少なくない。活劇として映像的な要素もある。当時は、日本映画が隆盛で それを意識したか。吉川英治は伝奇小説の達人といわれるが、これは伝奇小説ではない。実在の歴史的人物が絡んでいないから。その意味では、純度の高い捕り物の娯楽小説。2022/05/21
まめなやつ【多摩市多摩センター整体マッサージ】
2
話の筋も謎解きもイマイチ。というかムチャクチャ。なのに面白い、というところがすごい。2015/02/27
kumagai
1
一応ミステリー?結構意外な犯人。2017/01/10