内容説明
謀殺された名医・内藤了甫の忘れ形見・姫四郎、今では“悪”と噂の渡世人。日光街道宇都宮の城下。太物商いの豪商・野州屋の孫娘がかどわかされ、発見者に百両の賞金が出る、と聞き及んだのが氏家宿は七兵衛親分の手下二人。誘拐犯の上前をはねるべく、近在を駆け巡り、それと覚しきを見つけたが、この幼女、前夜肺炎を起こしかけたところを姫四郎に救われたばかりだった……。好評股旅連作。
目次
昔を売った粕壁宿
息吹が若い鹿沼宿
音が砕けた梁田宿
涙が散った矢板宿
雪が笑った氏家宿
掟を棄てた岩槻宿
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Schunag
5
笹沢左保の股旅ものシリーズ中で「木枯し紋次郎」に勝るとも劣らぬ名品「姫四郎シリーズ」第４作品集。初期のダークさよりも円熟味を増して軽妙さも時折顔を出す。明朗な人情物、意外性の冴えるミステリ風、非道と絶望の暴力小説まで、作品のバリエーションとプロットの凝り具合、そして作品の粒ぞろい度では「姫四郎シリーズ」でベストかもしれない。2025/10/28
