内容説明
優しい老犬に育てられた猫は自分を犬と思っているのかどうか、鷹揚で食卓の上の食物を狙ったりすることがまったくなかったのが、二度の失恋以来調子が狂って、ついに食卓の上の魚を盗んだ。「おまえともあろうものが、なぜそんなことをするのだ」と、私は猫に言った。間もなく、その猫はふっと姿を消してしまった……。二度と戻ってこなかった愛猫への思いを語る表題作はじめ、日常生活、嗜好、交遊、戦中体験、追悼、独自の濃密な文学空間を軽妙洒脱な文体で綴る絶妙のエッセイ集。
目次
グミ
部分的読書の愉しみ
犬が育てた猫
昭和20年の銀座
永井龍男氏との縁
井上靖氏の初心
小島信夫その風貌
ジョーズ園山俊二
山藤章二にいっぱい似顔を描かれた
篠山紀信との午後
向田邦子に御馳走になった経緯
川崎長太郎さんのこと
島尾敏雄のこと
トワイライト・カフェ
私のタイトル縁起
羊の去勢について〔ほか〕



