内容説明
物語りの展開とともに、人々のうえにさまざまな変化がおきてくる。愛し合うエイダとリチャードは、その婚約をとりやめる。いっぽう、エスタとデッドロック夫人のつながりが暗示され、出生の謎に一歩近づく……。さらに煙と煤のたちこめる中での老人の死。愛憎と事件がからまり合ってモザイクが次第にその全体像を明らかにしはじめる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
204
第2巻に入っても、遠慮なく 登場人物は 増え続け、物語は発散していくかのように見えたのだが.. 軸はエスタの生い立ちであり、ゆっくりと 話は繋がっていく。 それにしても この展開 本当にまどろっこしく、 まるでロシアの長編小説を読むようである。 ガッピーが語る奥方様の秘められた過去と エスタとの宿縁..次巻に期待。2016/11/23
扉のこちら側
85
初読。2015年1130冊め。【74-2/G1000】物語が動き出したようで、登場人物それぞれの思惑にまだ覆われていて全容がうかがえない。エスタの出生の秘密が明らかになるかと思いきや、また違う事件が持ち上がり、流れていく物語。個性的ではあるが、あまりまともな大人がいない印象だ。ミステリやSFでもないのに人体発火現象が出てきて、初読の子ども時代にも驚いたのを思い出す。当時は体内に残留しているアルコール分により自然発火すると考えられていたとか。【第6回G1000チャレンジ】2015/11/15
キムチ
56
頭が徐々について行くと、エスターの出生の秘密に黒いものを感じる・・そして登場するデッドロック家、美しい婦人。壁にかかる肖像画。思った通り、リチャードの本性が現れてきて次なる展開が見えたりもする・・そして精神が幼過ぎるエイダ。火傷しないと言いがと思いつつ。一方ニーモのベールが剥がれて行き軍隊が。ジョージ軍曹とタルキングホーンとの怪しげな取引。ガッピ―、クルックの呟きの意味が3割位見えてくると「ボードン大尉」の正体に近づいて行くような・・。エスタ― どう関わっているんだろう・・まだまだ霧の中。2021/01/27
ケイ
55
デッドロック夫人の秘密と、語り手の素性が明らかにされようとしている。語り手の結婚問題も含め、まだ不透明な遺産相続裁判がからんでくるのだろうか。二巻の最後に鍵となる人物が死亡した原因が自然発火。ミステリー?殺人?かと思いきや、この当時はアルコール摂取量の多い人はそういう死に方をすると思われていたらしい。家事、育児を放棄して社会奉仕に献身的な夫人、立ち居振る舞いが立派だが生活力がなく息子に働かせる父親、夢ばかり大きい財産を食いつぶす若者など、風刺が凄い。一方、子供達が懸命に働き生きているのが健気だ。2014/02/10
NAO
52
性格描写が卓抜なディケンズだが、この作品では、登場人物の性格や行動がかなり誇張されている。家庭を顧みない慈善家。自分は何もせず、ふんぞり返っていばっているだけの父親。自分は生来の子どもなのだからと言って他人に寄生し、それを恥ずかしいとも思わない男性。だめな大人と、健気な子どもたち。このディケンズの痛烈な風刺は、痛ましいほどだ。少しずつ明らかにされる謎、そこには何か陰謀があるのか。新たな犠牲者を手に入れたいつ果てるともしれない訴訟は、どのように進展するのか。ディケンズは、気を持たせるのが本当にうまい。2015/10/18