内容説明
競馬、ボクシング、そして今度は野球! プロ野球情報戦の暗部を鋭くえぐる長編ミステリ。高度のデータ野球でV4をめざす新日本アトラス。これをはばもうとする他球団ではネット裏で必死の情報収集が行われていた。アトラス球団の覗き部屋と呼ばれる情報管理室スタッフが不可解な殺人事件に遭遇する。データを狙うスパイを操るのは誰なのか?ID野球の裏側が垣間見えるようなリアリティは、当時最先端のデータ管理を彷彿とさせる。1985年刊行。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
背番号10@せばてん。
24
1988年11月1日読了。徳山諄一氏のご逝去を悼み、ご冥福をお祈りします。(2021年11月15日入力)1988/11/01
Yosshiy
20
プロ野球球団の新日本アトラス。高度のデータ収集能力を駆使して、三連覇を達成していた。四連覇も確実かと言われた今期は、チーム内に情報を漏らしているスパイの存在の可能性もあり、まさかの最下位チームに。そんな中、チームのデータ収集課員が謎の転落死。そして死の原因を調べていた課員は殺される。チーム内に何が起こっているのか⁉️展開や緊迫感等、飽きのこない構成でどんどんと読みふけってしまうも、最後の動機や謎の回収が現実的でない要素もあり物足りない印象を受けた。まぁ面白かったのだが(^^;2018/06/01
ハロー
9
この手の話を実名で作れたら面白いだろうな。スパイは「イチロー」とか。心に残るセリフは本郷の言った「オレたちは野球をやってるんだ。コンピューター・ゲームであそんでるんじゃないんだぜ」です。もっとも、現実にこんなスパイ活動が行われていた場合ですけど。野球選手がイヤホンやスカウターみたいなものを身に着けてプレイしている姿は見たくないなぁ。2017/09/06
coco夏ko10角
7
野球はさっぱり分からないけど、岡嶋二人が好きなのでゲットして読了。そもそも野球でスパイ行為が成立すると思わなかったのでそこからびっくり。野球のルールやら知らなくてもミステリとしては問題なかった。でもやっぱり分かってる方が楽しめるんだろうなぁ。2013/05/16
アルパカ
6
監督と球団社長の意見が合わずって現実のプロ野球でもよく聞くような・・・。「クラインの壺」などもそうだが、岡嶋作品には先見の明があるものが多い。データ野球というのも昔から言われているし、とてもリアルで結末もやるせないのだが、「資料課」に勤める佐伯さんが格好よく自分たちの仕事に後ろめたさを感じつつも、同僚の死を解明しようと努力する姿勢など誠実でいいです。照明の部分は、ああ、なるほど、と思いました。2016/07/28