内容説明
五十篇にのぼるサドの中・短篇の中から選び抜かれたこの作品集は、澁澤龍彦が最も初期に訳出した作品も含まれ、長年にわたるサド翻訳の仕事の出発点をなしている。ことに最後に収録された「末期の対話」はヴァンセンヌ獄中で書かれた記念すべき処女作であり、「最初の無神論宣言」として知られる。短編作家としてのサドの力量を証明する名品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
130
【恋の罪】中編三つ。心が高貴であれば、贅沢さのもたらす幻想に迷いはしまい。男を見極める目を持てるに違いない。取っ替え引っ換えの出来る物は、本当は無用なもの。いつら手に入れようが、幸せにはなるまいに。【小咄、昔話、おどけ話】とことんまでの脇雑さが小気味良い。革命前にここまでのエロ喜劇を書くとはあっぱれ。ページ稼ぎのエロ小説とは格が違う。【末期の対話】合理的無神論と思える。神はおらずとも善人は善人であり、救えない人物は救えない/恋の罪の二つ目の中編のみ退屈だったが、サドはこの路線のはその後外れたらしく、納得。2017/08/23
YM
59
サド入門として。まだこの一冊しか読んでないから何ともいえないけど、この200年近く前のサドの小説は今の僕にもリアリティを感じるとことができた。中でも「末期の対話」はきっとサドの心の叫びなんだと思う。徹底して神を否定し、神こそが人をダメにしているんだと訴える。すごくロジカルで分かりやすい。この時代によく言えたなあ。あと「オーギュスティーヌ〜恋の駆引」の同性愛の女性を、男性が気を引こうとする話は面白い!そうやるんね。教訓めいた話から、ばかみたいな話まで楽しめた。サドの本質を見に長編チャレンジしよっかな。2014/11/23
ふくしんづけ
10
読んでから気づいたが、原書『恋の罪』の三編と、別の賞編作品とで一冊になったもの。『恋の罪』からは古典的復讐劇『ロドリグと呪縛の塔』が良かったが、個人的に掌編群が好み。特に『オーギュスティーヌ〜』。同性愛者の嬢の熱弁。〈彼らのいわゆる罪なるものが生殖を度外視することから人類を絶滅せしめるであろうとて、世間は心配しているのでしょうか?〉〈自然は種の繁殖を許す、しかしけっして要求しはしない〉〈こうした慣習に従うのを毛嫌いする傾向の人々がいたところで、自然というものはそんなことに気を悪くするようなものじゃないわ〉2022/01/27
双海(ふたみ)
8
「末期の対話」にサドの哲学のエッセンスが・・・。徹底的な全面否定の無神論。2013/11/13
yukihirocks
5
正直この短編集は微妙。サドの独特な魅力が十分に表れているとは言えないと思う。良くも悪くもライトな作風のものが大半で、どれも可もなく不可もなしといった印象を受ける。自分の思想を信じて抉り出された作品というよりも、大衆におもねって執筆したというような一種の「甘さ」を感じる。強いて言うならば最後の二篇、特に『対話』に関してはサド哲学の萌芽(宣言)を明確に見ることができる。彼は「悪」を推奨するというよりも、当時の自然主義(神‐自然‐善‐道徳)という図式を否定して、「人間を”直視”すること」を求めているのだと思う。2026/03/15
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