内容説明
名探偵・神津恭介がバイクにはねられ入院した。病床を見舞ったよきパートナー松下研三は、療養中の恭介の退屈しのぎに、ひとつの提案をした。「成吉思汗の秘密」「邪馬台国の秘密」に続き、もう一度ベッドディテクティブを試みてはどうかというのだ。日本古代史の大きな謎、神武天皇は実在したか、ヤマト朝廷の統一は何を意味しているのか…厚いベールに閉ざされた日本の成立を推理しようというものだ。恭介の名推理は果たして歴史の闇に光を当てることが出来るだろうか!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
222
★★★☆☆ 病床の神津恭介が歴史の謎にせまるシリーズ第3作目。 主に神話にいう天孫降臨から第16代仁徳天皇の御代までの歴史が空想で描かれる。 非常に難解で人命も馴染みのないものが多く読むのに時間がかかった。しかし、神津たちの会話が面白く、奇想天外な説も楽しめた。邪馬台国の行く末、神武東征の真実、出雲神話をはじめとする記紀の記述の真実の姿、などが解明される。 いずれも古すぎて完全に否定できるものではないが、保守系の人が読んだら激怒しそうな説だった(笑)2021/02/20
はらぺこ
46
神津恭介の歴史モノの3作目。これ以外は読んでないので知らん間に『成吉思汗~』から20年ぐらい経ってたみたいで恭介は六十代でした。この3作しか読んでないので大麻鎮子が事故死したと知りショックでした。そういえば『邪馬台国~』に鎮子は登場してなかったので、その頃には既に亡くなってたんでしょうかねぇ? 内容は今回も面倒臭かったですが、なるほどと感じる所が多かったです。ただ、自分には古代史の知識が無いので古い地名と伝説に添ってつけられた地名の違いが分からないので都合の良い様に誘導された気はしてます。 2012/03/10
kagetrasama-aoi(葵・橘)
26
高木彬光作品、登録二十作目。名探偵神津恭介シリーズ、長編の第十三作目。「成吉思汗」「邪馬台国」に続くベッド・ディテクティブの三作目。何気なく語られる大麻鎮子の情報にビックリ!バイク事故に遭った恭介が、研三の助けを借りて“歴史の謎”を解明するお馴染みのスタイルです。今回は三世紀から五世紀頃の邪馬台国以後大和朝廷成立までを中心に、日本の古代史の謎に迫ります。天孫降臨や国譲りの神話から、こんな考え方を導き出すとは!好きな時代なので物語としてとても面白く読みました。2020/02/14
LUNE MER
15
『地味!!』。神津恭介のベッドディテクティブ三部作の中で唯一新装版による再版がなされてないのも納得の地味さ。成吉思汗=源義経説や邪馬台国論争以上に地味だもの古代日本史。…しかし!近年では高田崇史氏によるQEDシリーズもあり、私自身もそちらのシリーズのお陰で古代日本史の土地勘も多少身につき、自分なりにONE PIECEの正体も推測出来るようになり、その土台の上で本作を読むと退屈はしないんだ、退屈は。それでも「おぉぉぉッッ!!」と仰け反るようなアハ体験まではいかないかな……三部作で唯一未読だったので任務完了!2019/09/24
TheWho
10
推理小説の大家の著者の歴史ミステリー・シリーズの第三部。第一部の「成吉思汗の謎」が昭和33年刊行、第二部の「邪馬台国の謎」が昭和48年の刊行、そして本作は昭和61年刊行と約30年を掛けたシリーズ三作の最終巻。本作も名探偵神津恭介の入院の暇つぶしで記紀に綴られる日本建国の謎を解き明かす。神武天皇不在説に伴う崇神天皇初代説や、高天原朝鮮説等の戦後主流の古代史観が根幹となり、八木荘司の古代史観とは真逆の展開だった。ともあれ半世紀以上の時を超えた歴史ミステリーの金字塔を堪能できた一冊です。2015/05/24