内容説明
中世の終焉と近代の人間解放を告げた最初の作品と讃えられる、イタリアが産んだ不朽の名作。時は14世紀、ペストが荒れ狂うフィレンツェである教会堂に落ち合った年若い3人の貴公子と7人の貴婦人。丘陵に囲まれた郊外の山荘へ難を逃れた彼らが、悲惨な現実を忘れるため、毎日1人1話ずつ10人で10日間にわたって話された100篇の物語。精力絶倫の修道士が自分の不行跡に修道院長を引きずり込んで罪を逃れる話や、恋多き女が修道院を舞台に巧みに思いを遂げる話など、本巻には30話までを収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
49
ペストを避け、気晴らしを求め田舎の領地へと集まった10人の男女。一日ごとに王を指名し、王が指定した題に沿って各自お話を披露していきます。最近続けて中世の作品を読んでいたせいか、豪奢な装飾に彩られたタピストリーの世界から一気に人生の楽しみを歌うボッティチェリの庭に来たよう。いと高き存在だった神も、神を敬うのは勿論ですが、神に仕える教会の腐敗を風刺し修道士の失敗や罪を滑稽に語る様子からは神から人の時代にきたことを感じます。お話にも艶笑譚が混じるようになり、話し手たちが気安くなってきたことを感じながら次巻へ。2017/11/07
viola
11
『カンタベリー物語』などに影響を与えたという『デカメロン』。『カンタベリー物語』を読んでみて、やっぱりこれと『薔薇物語』は読んでおきたいなぁと読み出しました。カンタベリよりも、こちらのほうがずっと面白い気がします。でも、そっちもそうだけど、露骨に性的なものが結構多く、当時の宗教観ってどうなってるんだろうと思わず首を傾げたくなります・・。シェイクスピアの『シンベリン』と『終わりよければすべてよし』の種本も入っていました。翻訳も読みやすかったです。2011/06/10
はる
10
キリストの降誕から1348年フィレンツェといわず世界がペストに見舞われ、朝に黒いグリグリの出来物の死体が軒下に転がり、死体運搬人が墓地に見立てた溝にドサリと投げ込んでゆく。末法を願う輩は好き放題に喚き、そうでない者はひっそりと閉じ籠もる。ダンテから三十年。神の怒りの最中を七人の淑女と三人の紳士が連れ立って、ピクニックにでも行くかのように郊外の別荘で作り話に花を咲かせる。→2024/04/16
shou
6
フィレンツェで流行中のペストから避難してきた紳士淑女の優雅な夕べの語り合い、という額縁のわりには艶めいた小話が多くて、一つ一つは他愛無いもの。恋愛や機知に価値が置かれている。2016/08/07
かんやん
6
パゾリーニの映画が素晴らしかったので、原作を手にしたのだが、退屈して随分と放置してしまった。冒険、風刺、滑稽、貴種流離、艶笑とバラエティに富んでいるようでいて、全体的にみるとなんだか似たり寄ったりで、読む先から内容を忘れてしまうような。現代の読者の心に訴えかけるものが何もない昔話だからか。それでも、おおらかというか、あけっぴろげというか、本朝にもこんな物語集があるのだろうか。三日目のエッチな話が楽しい。なんか、みんな、カワイイです。中世の猥談は宗教の教義や信仰心が絡んで、なんともいえないおかしみがある。2015/06/09
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