内容説明
怪物は彼女のふくよかな胸をねらって、短剣をふりかぶった。もがきにもがく手が、近々とのしかかる怪物の顔を、はっしと打ったその瞬間、ポロリと落ちた黄金仮面! 怪物はアッと叫んで、す早く仮面を被りなおしたが、その正体はまざまざと……。ゾッとするほど無表情な金属性の顔、シューシューという妙な笑い声、めくれ上がった三日月型の唇からしたたり落ちる血。古美術、国宝ばかりを狙う怪盗に名探偵明智小五郎の鋭い挑戦! 黄金仮面/何者/D坂の殺人事件/心理試験/を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
散文の詞
12
−黄金仮面− 昭和初期の作品だなんて信じられない。 明智小五郎との黄金仮面との対決シーンはわくわくしてきて次を読みたくなる。 意外な犯人と、結局痛み分けのような結末もこの作品にはちょうどいいのかも。 −何者− ミステリーとしては1級品。ただ必然性がない部分があるのがどうかな。 2019/08/12
マーブル
6
7月28日は石榴忌。江戸川乱歩の亡くなった日とのこと。ご無沙汰していた乱歩を1冊取りだした。残念ながら『石榴』を所有していなかったので、『罪と罰』との連想から『心理試験』の入った本書を探すことにした。他にも何冊かある『心理試験』の入った文庫の中から本書を選んだのは『黄金仮面』を読み直したかったから。 『黒蜥蜴』と並んで何度も読んでいる本書は、『黒蜥蜴』などに比べると物足りないと感じている方も多いようだが、その分少年の頃を思い出させてくれる。 2018/08/03
nightU。U*)。o○O
2
表題作は絶賛されているけど、大雑把に言ってラノベの先駆のような、あまり工夫のあるものとは思わなかった。(ルパンで不二子であーはいはいみたいな面白さはある)。こういうのが流行ったというのは関心がある。「何者」論理の運びも伏線を用意してあるところも本格っぽく非常にいい。はじめて「D坂」に触れてうれしい。ジャパニーズ密室という感じで興奮する。2016/04/30
大典太
2
表題作は乱歩の作品の中でも特に有名な作品だと思われますが、何しろ荒唐無稽すぎてどうにもこうにも…。一方、後半に収められている「何者」「D坂の殺人事件」「心理試験」は、いずれも読み応え充分の作品ですね。「D坂-」は平成の某有名事件、「心理-」は某国の文豪の名作を思い起こさせます。2014/12/30
まくら
0
★★★★