内容説明
剣の道はかほどに奥深く、玄妙なものであったのか――柳生の里をおとずれた神陰流の流祖上泉伊勢守秀綱と立ち合ったとき、柳生宗厳は己れを愧じた。慢心、うぬぼれ、未熟さ……目からうろこが落ちる思いでそれに気づいた宗厳は即刻秀綱に入門、切磋琢磨を誓う。無刀取り柳生新陰流の開祖石舟斎の半生。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kiyoshi Utsugi
32
神陰流の創始者である上泉秀綱(信綱)が、奈良にある柳生の里を訪れて、柳生宗厳(石舟斎)と立ち会って、何度も破れます。 ようやく自分を恥じた柳生宗厳は、上泉秀綱の門下となって、無刀取りを編み出します。 ここがこの物語のクライマックス。 あとは、時代の流れがはやくて、深く描かれるようになるのは柳生宗矩が徳川家康、秀忠父子に仕えるようになってからの50ページぐらいが、しっかりと描かれているところ。 これを読んだら柳生の里に行ってみたくなりました。😀2023/02/21
たなかか
8
無刀取り とはこういう事なのか! 戦わずの刀 剣禅一如 覚悟が大事 刀抜かぬのが無刀取りの真髄 。 上泉秀綱と宗矩の話が多いが宗厳に繋がる縁 なるほどー 刀を使わないた戦い 上泉対宗厳 信長対宗厳 宗厳対宗矩 家康対宗厳 最後の島左近勝猛との戦いは、達者な者の戦いだね 2021/01/04
旗本多忙
6
上泉秀綱の剣技に翻弄される宗厳(石舟斎)は、自分が井の中の蛙だと思い知らされる。石舟斎が主人公だけど、私は上泉信綱の人となりが凄く気にいりました。どこまでも謙虚な姿勢は人として見習わなければなりませんね。作中で、宗厳に「われわれが目指しているのはかようなものではない‥」と信綱が言うと、仰天する宗厳が面白かった。後世に残る作品ですね。
eucalmelon
4
浮いて流されないが故に石の舟。なるほど。師である上泉伊勢守は、度量が大きいと思う。対宗厳戦、思い上がっているとわかっている相手を指導してやる気に普通の人はならない。2度目以降の対戦はサービスでしかないだろう。一方の宗厳の執着も凄い。なぜ負けたか分からないままでは終わらない。食らいついていくその精神は見習いたい。 読み終って思ったのは家族で団欒できるのはいいよね、だ。上泉伊勢守がそんなことを言っていた。2018/11/23
章魚 たこ
4
ま、十兵衛ものよりは、歴史っぽいですが、いまひとつ勧請移入ができなかった。かれよりも上泉伊勢守信綱を描いた前半のほうがずっと話に入りこめた。2017/07/10