内容説明
「都会生活の哀愁を、巧みに切りとってみせた」と高く評価された第90回直木賞受賞の短篇集である。この世の中、どこの誰にも一枚めくれば、あやしげな私生活があるものだ。人それぞれにおなじ悩みも濃くまた淡く……いささか暗い人生の哀歓と心理の機微を、登場人物それぞれの何気ない会話のうまさと洗練の筆で、さりげなくしかし奥深く捉えた名人芸。「つぎの急行」「たねなし」「丘の上の白い家」「ご利用」「六日の菊」など17の「私生活」を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
171
第90回(1983年)直木賞。 昭和のサラリーマンの何気ない日々を 綴った短編集である。 儚げな さりげない男女の切り口が読んでいて 実に 心地よい。 壮中年の日常が 哀しく切り取られて、 余韻を残す…味わい深い作品だった。2018/08/17
kaizen@名古屋de朝活読書会
125
直木賞】短編集。不思議な話が多い。面白いと思った。人生いろいろって感じ。「つぎの急行」「たねなし」などなど、17作品。 2014/05/23
しんこい
9
再読。修羅場やきわどい話の一歩か二歩手前の展開が多いですが、それが作品の味というか、人生の多くを占める場面というか。好きなのはシングルスと六日の菊か。最初読んだ時は警戒水域も好みだったようですが、多少は変わりますね。2014/08/02
nAoo
8
貰った本です。初めての作家さんでした。昭和臭全開!!! 時代小説?と思いながら読みましたが、途中からハマりました。面白かった! 昔の人は「〜かしらん」みたいな言い回しが好きなんでしょうか?度々出てきて少し違和感がありました。2013/12/11
あかつや
6
短編17編。『私生活』とあるが、他人の生活をこっそり覗き見るようないかがわしいものではなく、誰でも一つや二つ持ってる話のタネっていうか、私的な小話みたいなのをずらっと並べたという印象の本。肩のこらないあっさりした感じがほど良い。好きな話は「小夜子」かな。70歳にもなろうかっていう知人にいい人ができたという噂を聞いた。偶然本人に会ったらウキウキして相手の着物なぞ持ってる。色々尋ねてみたら、そいつは生身の女性ではなくダッチワイフだったと。生きている人間のように煩わしさがないっていう気持ちはわからんでもない。2019/04/26