内容説明
昭和十九年夏、上海で発病した西山民次は死地に赴く十三人の遺書を預かり内地に戻った。息子の帰りを待ちきれず息絶えた『墓の女』から、本人に直接遺書を手渡すことになる『受取人なし』まで、西山の辿る八年間が十四話から成る。西山は有馬自身だ。「戦争体験の風化を厳しく告発した」という著者の言葉が新鮮に甦る名作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
🦐🍴💓🥑
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「死者の郵便を届ける」という主題に引かれ手に取りましたが、予想と異なり「遺書配達人を軸に、戦争が人々に落とした影を描き出す」小説でした。歴史の流れを示しているのか、各章の冒頭にはプロットに直接関係のない戦後の歴史的事件の記事が挿入され、大戦からどのくらいの隔たりを生きたか当時の読者の体感に訴えていたようです。 戦犯となり凋落した政治家の元へ息子の怨嗟の手紙が静かに届けられる「焚火」、疎開で教師の家に預けられたみなし子の少年が死刑になるまでを描いた「墓標」が真に迫っていて素晴らしかったです。2026/01/24




