内容説明
乞食王子、白雪姫と七人の小人、はだかの王さま、赤頭巾ちゃん、シンデレラ、そしてピーターパン……。おとぎ話の主人公たち総出演の愉快なパロディ「なりそこない王子」をはじめ、深夜の道路を走る霊柩車が拾った死体をめぐるてんやわんやの騒動を描く「死体ばんざい」など、時間と空間を超えて、現実と非現実のはざまでくりひろげられる12編の不思議なショートショートを収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
80
「収容」はオチが切れ味鋭い。いや、巧い!「ミドンさん」もこの作者ならでは、「善良な市民同盟」はクロサギに出てきそうだし、「合法」は映画「アイランド」に先駆け、同様のテーマを書いている。この辺になると終盤に作者の顔が見え隠れするのが面白い。2008/09/10
s-kozy
65
これも娘が実家の本棚から発掘して来た本。星新一の(ショートショートというよりも)短編が12編。「これも面白かった」とは娘の評。ブラックユーモアあり、ファンタジーあり、SFありとどれもクオリティ高く読ませるのはさすが星新一といったところか。そう言えばこの読了日に現地で娘に会ったのか、偶然だけどね。アメリカ旅行中に読了②。2019/08/20
ぼっちゃん
56
先日、BSテレ東の「あの本、読みました?」の番組で星新一研究家の方が、お薦めは「ミドンさん」というでそれを読みたく読了。「ミドンさん」はSFではなく、人間心理をうまく描いた作品で面白かった。【図書館本】2023/12/03
KAZOO
54
ショートショートというよりもショートショートをいくつか集めた短編集が12編収められているといったほうがいいのかもしれません。一番最初の話なども笑ってしまいます。表題作などはグリム童話などいくつかのはなしを完全にパロディ化してしまっていて笑ってしまいました。緊迫感あふれる小説もいいのですが、時たまこのような話を読むとゆったりとした気持ちになれます。2015/01/13
北風
50
星新一にしては珍しい官能色のある作品が多い短編集です。中でも「ミドンさん」がよかったですね。不思議な話になるほどなオチ。どちらかというと星新一作品というより眉村卓作品に近いような気がします。2015/07/28