内容説明
ある夜、火星に白熱光を発するガス状の大爆発が観測された。これこそ六年後に世界を震駭させる大事件の前ぶれであった。
ある晩、イギリス諸州の人々は夜空を切り裂く未知の物体が大音響とともに落下するのを見た。やがてそこから現れたものは……。
想像を絶する、火星人の地球侵略がはじまったのだ。世界SF史に輝く大ウェルズの古典。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
33
言わずと知れた超有名古典SF。映画版(2005)の方が知名度がありそうだが、それも仕方ない。原作を読むとよく分かるのだが、あの映画は出来うる限り忠実に映像化されているし、細かい描写なんかもしっかり再現されている。この古典作品を、原作から大きく外れずド迫力のエンタメ映画として作れるんだから、なんだかんだスピルバーグは凄いとしか言えない。つまりそれだけ小説の描写が、今読んでも臨場感のある優れたもの、ということになるかもしれないが。古典としての価値は言わずもがな、やはりウェルズには全く色褪せない魅力がある。2015/09/02
姉勤
25
1898(明治31)年イギリスで刊行。二度の世界大戦はおろか、ロンドン空襲、バトルオブブリテン以前の作品。火星人の突然の襲来と侵攻。情報が錯綜した市民と軍隊のパニック描写がメインの第一部と、レジスタンスと降伏も含めた生き残りを模索する第二部。タコ型火星人のオリジナルとして、飛行機すらない当時に、ロボット兵器、ビームや毒ガスを思わせる描写。人々の恐慌と破壊行為の臨場感、隔絶した技術レベルの絶望感、人物の心理描写。およそ120年前の作品とは思えない。2022/07/18
Kouro-hou
17
先日読んだ「漫画で読む宇宙戦争」がなんか違和感あったので、積読山脈のさらに奥地にある既読鉱山から採掘再読。漫画版ではロンドンから海へ脱出しようとする弟のパートが全カットだったのでした。(他にも違いはある) いろいろ世相も人も皮肉気味に書かれる地球人類側で、ひたすら勇敢な軍艦サンダーチャイルドの件は涙なくしては読めません。それにしても主な移動手段が馬車や自転車の時代にコレが書かれたというのが凄いですよね。そしてその後のこの星の数多の物語は、コレの支配下から容易に逃れることが未だにできない。2014/06/28
テイネハイランド
16
図書館本。原書"The War of The Worlds"と併読。日本語訳はおおむね正確ですが、若干堅苦しいような印象も受けました。この小説は、火星人の侵略から逃げるロンドン郊外の人々の様子をかなり細かく描写していて、どうしても3・11などの現実の災害のことを連想してしまいます。訳者がいうように、結末のオチもよくできていると思います。(G1000)2016/05/21
植田 和昭
14
HGウエルズの傑作。透明人間・タイムマシン・ドクターモローの島と傑作がこの年代に集中している。解放された世界は面白くなかったが、原爆戦争を予言している。火星人の描写、戦闘機械、作業機械と飛行装置など19世紀に書かれたとは思われない先進的なSF小説。トムクルーズの実写作品は面白くなかったがCGができたのだから原作に忠実に実写化して欲しい。アメリカでのラジオ放送でのパニックは、実際にはなかったようだがそれほどリアルに描かれていたという事だろう。僕をSFの世界に招き入れてくれた一冊。 2023/12/05