角川文庫<br> 見た.揺れた.笑われた

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角川文庫
見た.揺れた.笑われた

  • 著者名:開高健
  • 価格 ¥462(本体¥420)
  • KADOKAWA(2014/01発売)
  • ポイント 4pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784041242063

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内容説明

焼跡の街を空腹を抱えて徘徊しながら、青春の惨苦と荒涼にひしがれ、人生の醜悪の果てを見たい熱望にかられた日々。廃墟の青いミミズにも似た主人公の“修業時代”を描く佳作「見た」。 近郊農村の小屋での年上の女詩人との同棲生活。19歳の父となった体験を語って奇妙に感動的な「笑われた」。破天荒で余裕綽々。饒舌体と称されながら、知性がきらめき詩が横溢する独得のスタイルの、私小説パロディ。現代文学の金字塔「夏の闇」に至る著者の出発と模索を示した短篇シリーズ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さっと

8
私小説パロディと言われているが(いまいちピンとこない)とにかく自伝的要素の強い作品集。時期的には海外放浪を経ての『日本三文オペラ』『ロビンソンの末裔』といった初期の長編発表後の、路上観察デッサン(日本人の遊び場・ずばり東京)に励み出したころのはずだが、それらの作品群とは異なり自己の内面を凝視するところはのちの自伝的長編『青い月曜日』、さらには代表作『夏の闇』にも通ずるテイスト。個人的には「太った」。自身の作家デビュー後を友人(モデルは谷沢永一でしょw)の視点で「彼」として語らしめているもの。ユニークね。2020/10/23

あかふく

4
恐ろしい。少なからず本を読み、この本を手にして読んだ者にとってこの本は恐ろしい本である。言葉が書かれ、読まれ、話され、交わされている巷間において、その言葉がいかにあやふやであるか、表層的なものでないが故にあやふやにならざるを得ないかということに対する絶望的な状況が私小説のパロディを用いて書かれている。「これは私の事である」ということが伝わることにあぐらをかいている私小説への憎悪と、一方で作者が小説を書きながら、それが皆に読まれることに対してあぐらをかいてしまっていることに対する恥かしさ。2013/05/21

あかふく

2
開高健が、習作を除いて、はじめて自らのことを書いているとあからさまに表明しながら書かれた短篇集。そこで必然的に行われる自己言及は開高健の言葉に対する不信に起因するパラドックスを生じさせる。つまり自らを「彼」と擬し語る「太った」で「彼」に「おれはウソつきだ!」と言わせること、「彼は本心をあかさない」と語ることによって本書は常に欺瞞的になる。それを開高が頻繁に述べる「木」が「キ」でしかなく「木」であることが分らないという言語観から逆に見れば、開高健の小説作品全て、欺瞞的であるよりほかないということになる。2013/11/14

がんぞ

2
ポーランドのこととかゴヤのこととか、知ってる人は知っていて文学の素材になり難いものも敢えて取り上げる。文学の使命とは何だろう?ヒトが、どれだけ高い思想性により欲望を自重できるか、示すのも良い。しかし『“正義”とは“嫉妬”である』と言う、高い思想の要求に沿っていると論理的であると自認する時、ヒトは個人の欲望以上に残忍になる。オウム真理教幹部がポア殺人を指令したように(落選して手の届かなかった国家権力への嫉妬である)。何故死後の保証が空手形かも知れないと疑わなかったか。開高は天皇が神からヒトになるのを見た世代2012/05/24

猫亭

1
また古い開高健の本を読む。制服と凱旋兵士のくだりで、ネトウヨだなと思う。これも30年前に読んだ2017/12/02

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