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内容説明
源平争乱による政情の激変は、国民に政治意識の自己改革を迫る一方、物語に一貫して流れる仏教的無常感は、人びとの心を打ち続けてきた。巻八から最終巻の平家灌頂までを収録。小秘事・大秘事、索引を付載。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ukmsblue
4
読了。栄華を極めた平氏が没落していく一方、彼らを追い詰めた義仲も義経もまた同様の運命を辿る。仏教的無常観の物語と紹介されることがよく分かった。しかし、この時代の人たちはよく啼き、よく詠み、出家する。中世の価値観、生死感を理解するのには格好の物語だった。繰り返して読みたい。2020/09/27
ヤベ
2
絶対的に中心に位置する清盛に登場人物が関わっていく主人公が清盛なのが明白な前半と比べて、清盛が死んで平家が源氏と対立構造になる後半は、それぞれの陣の登場人物にオムニバス的にスポットライトのあたる群像劇になる点が異なる。継ぎ起きる出来事が仏教的因果律で脚色される点は引き続いており、個々人の愛別離苦が集合して巨大な仏教的感動を生むように編集されているのが後半の文学上の売りと思われる。この物語のまとまったのが平家が滅び源氏も北条に滅ぼされた後鳥羽の頃と思って読むと、より一層のあはれを覚える。2022/12/27
garyou
1
こども向けの「平家物語」とはだいぶ異なる部分がある。義仲は「腹の皮がやぶれるほど食へ」とは言はないし、重忠は愛馬を背負つたりしない。景時が結構いい人。ここら辺はもしかするとほかの版にあるのかはたまた「吾妻鏡」とかなのか。上巻では富士川の合戦の伏線(実盛の脅し)がおもしろいなあと思つた。下巻はやつぱり熊谷かな。実際にさうだつたんだらうけど、まづ我が子の戦での怪我があつて、それから敦盛といふのがきいてゐる。2016/03/02
ヒトコ
0
実際に読んだのは、ソフィア文庫版以前の昭和48年発行の文庫です。2012/12/18
まさひーる
0
☆3.5 平家型も源氏方も、優しいところもあれば残忍なところもある同じ人間であることを強く感じた。那須与一など有名な部分も、全体を通して読むことで一層の迫力を持つ。冒頭の「祇園精舎の鐘の声」と呼応するかのような「寂光院の鐘の声」で始まる最後の部分は、物悲しくも全体を見事に締めくくるエピローグであった。2020/07/11