内容説明
美術史家としてすぐれた才能をもちながら、学閥から追放され敗残の生活を送る宅田老人。贋画の天才酒匂鳳岳の発見によって開始される学閥への復讐は、まず、鳳岳の描いた「秋山束薪図」が、未発見の浦上玉堂の作と評価されて成功するかにみえたが…。表題作ほか「上申書」「剥袋」「愛と空白の共謀」「装飾評伝」を収める。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
とめきち
9
剥製:新聞社に勤める芦田は鳥寄せ名人を取材する。名人が鳴き真似をすると付近の鳥が一斉に集まってくるらしい…←すごいと思うのは昭和34年の作品なのにテーマが極めて新鮮なこと!鳥言語学者の鈴木俊貴氏は地道な研究をして鳥の言葉が分かるといって今まさに話題になっている!後半では一転、昔は一世を風靡したが今はなかなか連載の依頼をされない美術評論家R氏が登場。どこかで見たような…。はっ!『理外の理』の子泣きじじい!先日、パソコンを入れた鞄を背負って階段を上っている途中、重量で後ろによろけた時、この短編を思い出したw2025/04/10
Weapon
2
真贋の森 松本清張 ==== 父の蔵書から。5編を収録した短編集。 ・真贋の森 ・上申書 ・剥製 ・愛と空白の共謀 ・装飾評伝 松本清張らしいけど、サスペンスではない。 人のくろぐろとしたところがみっちりと表れている。 ああ、やっぱり松本清張は面白い。 ただ、どれも最後に明白な解決を持たなかったり、スカッとするカタルシスのない作品ばかり。だからこそリアルなのかもしれないが。 2017/07/07
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