内容説明
商売に失敗した三田村は、偶然に江藤という富豪と知り合った。江藤は死んだ娘のためにソ連の世界的ヴァイオリニスト・ムラビヨフを日本に招聘することを思いつく。三田村は招聘の運動費と称して江藤から金を引き出し、自分の新しい事業に注ぎ込むが、江藤の美しい妹にその魂胆を見透かされた時、奇妙にも本気でムラビヨフを招んでやろうと考え始める……。著者唯一の書下ろし長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yokkin
2
ムラビヨフ、ロシア人のバイオリニストの名前。そして、死んだ娘がうわ言で、つぶやいた名前である。最初は娘の父親の江藤氏を騙して、お金を拝借したのだが、何故か途中から本気で、ムラビヨフ呼ぶことに夢中になる主人公。今まで、敦煌や天平の甍、しろばんば、夏草冬濤などの井上作品を読んだが、どれとも異なる雰囲気で、これも好きだった。2026/02/20
産廃屋
0
娘を亡くし悲嘆する富豪から金をパクろうとする中年。ネタは娘が敬愛していたソ連のバイオリニスト招聘だが緊張感に欠け単なるドタバタに。作者がノーベル賞を取りマルケスと肩を並べるという椿事が避けられて本当によかった。2010/08/14




