角川文庫<br> 草枕/二百十日

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角川文庫
草枕/二百十日

  • 著者名:夏目漱石【区分表記なし】
  • 価格 ¥462(本体¥420)
  • KADOKAWA(2014/10発売)
  • ポイント 4pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784041001042

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内容説明

「草枕」(明治39年)は漱石のいわゆる非人情の美学が説かれているロマンティシズムの極致である。非人情とは東洋古来の漢詩や俳句に流れている根本的態度であり、一切の人間の事象を自然に対すると同じ無私の眼で見ることだ。「二百十日」(明治39年)は、漱石には珍しい社会批評の方向を示す中篇小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

130
2021年の漱石忌に。2つとも熊本の方の話。男が1人、都から遠く離れた温泉に行けば、宿には出戻りの綺麗な女の部屋しか空いておらず、男は知らずにその部屋に泊まる。夜にぼんやりと見える女。闇に浮かびあがるうなじの白さ。画家の主人公がとらわれるオフィーリアは、少し余計かな。 寺からの、夜の景色にすいこまれる。「ようこられた、退屈じゃろ」「あまり月がいいからきました」 ……すぐ懸崖とみえて、目の下に朧夜の海がたちまちに開ける。漁火がここ、かしこに、ちらついて、はるかの末は空に入って、星に化けるつもりだろう…2021/12/09

confusion_regret_temptation

35
およそ30年ぶりの再読。文学部生時代はもっとすんなり読めた気もするが…。 草枕: 画家を主人公として著者の思いを代弁するスタイル。画家でありながら山奥の旅館?で画も描かず美意識を言い訳に怠惰な生活を送る話。非人情と言うが自身の情に固執しているとも取れる。 二百十日: 碌さんと圭さんの会話を主体とした一見友情を描いた話。会話調なのは原稿用紙のスペースを稼ぐ企みだったのではないか?私は「猫」をラノベの元祖と思っているが、この会話調の一点でこれもラノベの原型と言えるのでは?と思ったりもしている。2024/03/16

あきあかね

18
 先日母を案内した早稲田にある漱石山房記念館では、ターナーや青木繁などの絵画を好み、漱石自身も多くの水彩画を描いていたことが分かった。熊本の鄙びた温泉場を訪れた若き画工を通じて、自己の美術観を語る『草枕』でも、水に浮かぶオフィーリアなど絵画のイメージが散見される。 『草枕』といえば冒頭の「知に働けば角が立つ。情に棹させば流される。」の一節が有名だが、この人生論の後に芸術論が続いている。 「住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画ができる。⇒2022/11/06

シュラフ

14
『草枕』は既読。『二百十日』を読みたく手に取った。ところがこの『二百十日』を読んで意味が分からず戸惑う。解説によれば、この作品は『野分』の前段の作品である以外に意味はないとあり、自分の読解力のなさではないのだと安堵した。漱石はこの作品で華族や金持ちを繰り返し批判している。特に、終わり方の「阿蘇が轟々と百年の不平を限りなき碧空に吐き出している」の反体制ともとれる一文は穏やかでない。漱石は体制側の人間に思えるのだが、いったい何を不満に思っていたのだろう。明治の知識人による体制批判の書というのは大げさだろうか。2014/08/24

キリン

12
「山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角かどが立つ。情に棹させば流される。」有名な一文からのスタート。内容はこれまであまり知らず▼ 絵描きが旅に出て、その宿で美しい女と知り合うも、出戻りである彼女は画に描くには何か物足りない。そんなお話▼明治文学の難解さ、読了までになかなかの時間を要しました▼ 「二百十日」は二人の会話調で話は進む。軽快で面白いが、話の中身はあまりない。★3.92022/09/27

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