ポーツマスの旗

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ポーツマスの旗

  • 著者名:吉村昭【著】
  • 価格 ¥737(本体¥670)
  • 新潮社(2013/06発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101117140

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内容説明

日本の命運を賭けた日露戦争。旅順攻略、日本海海戦の勝利に沸く国民の期待を肩に、外相・小村寿太郎は全権として、ポーツマス講和会議に臨んだ。ロシア側との緊迫した駆け引きの末の劇的な講和成立。しかし、樺太北部と賠償金の放棄は国民の憤激を呼び、大暴動へと発展する――。近代日本の分水嶺・日露戦争に光をあて交渉妥結に生命を燃焼させた小村寿太郎の姿を浮き彫りにする力作。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

541
吉村昭は日本が近代国家を形成してゆく過程、そしてそれが現代の日本にどう繋がっていくのかを一連の歴史小説を通じて模索しているようだ。本書はそうしたものの一環であり、同時に小村寿太郎の評伝なのだが、もっぱら日露戦争の終結を決したポーツマス条約の締結前後に焦点を当て、執拗なくらい克明に描いてゆく。多くの資料に基づくのだろうが、吉村の筆致はまさに見てきたかのような書き方である。小村は自身が背負っていたものに押しつぶされることなく、ロシア側の全権大使ウイッテとの交渉を重ねてゆくその姿は真にスリリングである。2022/05/24

yoshida

135
日本が自存自衛をかけて悲壮な覚悟で臨んだ日露戦争。日本海海戦の完勝により講和の機会が訪れ、全権大使・小村寿太郎はポーツマス講和会議に臨む。ロシア側全権大使のウィッテとの緊迫した駆引きを行う。陸軍の戦力と財政が限界を迎える日本。革命機運と厭戦気分の漂うロシア。当然の権利として賠償金と、占領地樺太の割譲を要請する日本。頑として拒むロシア皇帝。劇的な南樺太割譲による講和成立。国家財政や陸戦力を明治政府は国民に知らせる事ができず、国内に暴動が起きる。続く韓国併合と満州経営。太平洋戦争へ向かう日本。劇的な長編。2015/02/05

zero1

134
日本の大きな勘違いと悲劇はここから始まった。日露戦争で多くの戦死者を出しながらも勝利した日本。ロシア側との交渉に臨んだ全権の小村寿太郎。賠償金を得られず怒る民衆とそれを煽る新聞。民衆の怒りは小村とその家族に向けられた。この戦争は局地戦であり、多くの日本人はそのことを理解しておらず、あのナポレオンやナチスドイツもロシア攻略に失敗している。【日本は不敗の国】ということが泥沼の日中戦争や太平洋戦争につながったと私は考察する。歴史を冷静に判断、分析することの難しさを本書は教えてくれる。「坂の上の雲」と並ぶ名著。2020/08/07

KAZOO

123
日露戦争を描いた作品は、司馬遼太郎の「坂の上の雲」、そして吉村昭の「ポーツマスの旗」が私にとっては双璧です。秋山兄弟の視点から主に戦争遂行面からの司馬作品に比べると吉村の作品は地味な外交面でのものでドキュメント的な色彩がありますがじっくりとよませてくれます。小村の地味な性格や家庭的には恵まれなかったことなどもよくわかります。何度読んでもこのような外交官が今日本にもいたらと思わせます。2015/06/26

サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥

111
日本が世界の列強の一員として名を連ねるきっかけとなった日露戦争。従来、秋山兄弟、東郷、児玉、乃木など軍人の視線で語られることが多かった。それを全権大使であった小村寿太郎の視線でその終結の為のポーツマス講和条約締結を描いた作品。戦争は始めることよりも、むしろ終結させることの方が難しい。日露両国だけでなく、英米仏独を巻き込んだ駆け引き、情報戦、互いの国の威信をかけて行うタフなネゴシエーション。これはもう一つの戦争なのだ。日露戦争を新たな視点で知ることができた。★★★★2016/09/19

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