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内容説明
古く『平家物語』や『源平盛衰記』など、軍記物で形象化した義経は、室町時代の『義経記』にいたって物語化の頂点に達し、さらにそこから色とりどりの大小の物語が派生した。「判官物」と称される一群のジャンルがそれである。ついには歴史と伝説のけじめさえつかなくなり、義経は一方では国民的英雄として、他方では白面の貴公子、においやかな遊冶郎として日本的美意識の具現者となる。義経伝説に結晶化した日本的心情の源流を探る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
非実在の構想
1
伝説に彩られた義経の生涯の実像や、伝説の成立について、『玉葉』『吾妻鑑』『源平盛衰記』『平家物語』『義経記』を用いて迫る。ある程度読者に義経の知識があることを想定して書いているので、どの資料に基づく記述なのか良く分からない箇所があった。現代の文学に基づく価値観に立って資料を批判するため主張が曖昧になっているような印象を受けた。『義経記』の成立に対する説明はとても分かり易い。2014/08/10
しお
1
図書館。ロマンですな。たまに筆者の筆がのりにのってる瞬間があるのが気になった。2011/05/28
いぬかいつまき
0
悲劇の英雄・源義経、その数々の義経伝説についての発生や展開を語る。「歴史の虚実」のサブタイトルにもあるように、歴史上これほど虚実あやふやなエピソードで語られる人もそう多くない。中には衣川合戦を生き延びて大陸に渡りジンギス汗になったという説さえ存在するほど。物語や講談で脚色や潤色が加えられ、日本人好みの悲劇の英雄に奉られる義経が歴史から乖離していくのは、それ自体がある意味悲劇なのかもしれない。後半生の義経が弁慶ら郎等たちの言わば消失点となり、本人はどんどん無個性化した貴公子となっていくという指摘は面白い。2015/11/28
のの
0
義経伝説についていろんな角度から見ることができた。書評を書く本として選んだ本だったけど面白かった。義経がどういう人生を送ったのか、改めて知ることができた。2020/11/15