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内容説明
分析心理学の形成過程とその意義を解明しつつ描くユングの全生涯。「この仕事によって、筆者は自分の依って立つユング心理学を再検討し、自分の今後の方向づけを得られたようにも感じている」──50代の河合隼雄が自らの留学経験をもふまえて執筆した労作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
兵士O
17
昔、「危険なメソッド」という映画を観た時、僕の好きなキーラ・ナイトレイがおっぱいを見せながら、あごをしゃくっているシーンがあり、そればかり覚えています。その作品の中で、彼女はユングの治療を受けることになるザビーナという患者で、彼と恋仲になってしまうのでした。この本では、ユングが愛人(?)のトニーとの関係のことをアニマとして倫理的側面を超えて必要だったと、ザビーナのことは触れずに書いているのですが、単に女好きだったんじゃね? と思ってしまうんですよ。ユングも聖人ではなく所詮は人間。でもだからこそのあの業績!2022/02/25
roughfractus02
11
『ユング自伝』が自身の夢や直感を自らの心理分析の仮説を検討する臨床例として扱った点に、すでにユングの生涯の特徴が見られる。彼の生涯は後続の分析家の態度を触発する一臨床例になりうるからだ。本書は、幼時の地下の王の夢から無意識への探究を始め、絶対神たる父への意識の同一化の失敗から母なる無意識の影と葛藤する自己の全体を整えて行く錬金術的な個性化過程や曼荼羅的な共時性ビジョンを探るユングの生涯を簡潔に辿る。一方、ユングの西洋的な解釈に対峙する著者は、東洋的な深層意識と表層意識のバランスを整える物語の探究に向かう。2023/01/04
Gotoran
10
ユング自伝を読書予定に組み込んでいるが、本書に書店で出くわし、著者が河合先生であったこともあり、躊躇なく購入、読んでみた。ユング心理学に関しては河合先生の著書で表面的ではあるが既知。本書は、ユング心理学の入門書。読んでいると、何となくヘルマン・ヘッセを連想したが、後で7ユングと曼荼羅での中にユングとヘッセの項目があり、「デミアン」「シッダールタ」「荒野の狼」にユング心理学が影響しているとのこと。他にフロイトとユングの関係をより深く知ることができた。巻末参考図書にも目移りがする。 2011/07/29
kiki
9
理解するには前提知識が全く足りてなかった。学業の中でユングのテストを受けたり、MBTIをやってみて結果が納得のいったことから興味を持ったが、これらのテストは意識に焦点を当てたもので、むしろ無意識への理解が必要だったと反省。ただ表面的ながら知ることができた事も少なくない。彼の壮絶かつ異次元にも思えるような人生を辿りながら、同化することなく自国を外から眺めること、自我を越える自己の存在、東洋と西洋の比較や宗教観、死生観等新しい考え方を学べた【備忘録】エラノス、ボーリンゲン、易、曼荼羅、鈴木大拙、共時性、錬金術2021/02/17
しょうご
8
お借りした一冊。心理学に興味を持ち始めたので読みました。少し読むのが早かった気がします。再読する時が来るかなと思います。2017/06/02