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内容説明
開国から二度の戦争を経て、世界の強国へと激しく変動した明治という時代。その歴史と文学の流れを、鋭利な分析と透徹した理解力を持って論証する。西洋の大きな影響のもとに出発しながら、いつしか独自の様式を獲得するにいたった近代日本文学の特異性が明快に描き出される。卓抜した批評家の本領を示す労作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅん
11
欧米で「世代」といえば30年周期、つまり親と子の関係で考えられるのだが、日本では10年周期で考えられることが多い。中村は明治期の日本にその由来を見出す。明治の日本は、実際に10年ほどの短いスパンで大きな変動があったのだと。こうした観点を開示した後で、江戸から地続きの戯作から開始し、明治40年代の自然主義の広がりまでを記していく。中村の基本様式である「です・ます」調の言葉は、事実の紹介と著者の価値判断を文章の中で下手な継ぎ目を見せない。それ故だろうか、読んでる間、心地よい興奮にずっと包まれていた。2022/02/27
かとうさん
3
明治時代のインフルエンサーとでも言える人々のバックグラウンドやら関係性なんかが描かれてて、面白かった。七割ぐらいは本書で初めて知る名前でした。いつか再読予定。2023/02/16
おがわ
1
逍遥、功利的観点から離れた小説の価値・明治初期の文、漢文優位・福沢諭吉、平易な文の導入・硯友社、実利的価値への反発、戯作回帰・個性の観念の肉化、官能の解放、明治末期・自然主義、肉の自己、個人の追求と社会との相克2022/12/13
テッテレこだち
1
1963年刊行の明治文学史。年代ごとの文壇の思想をざっくりつかむには読みやすい。作者の思想と環境は作品とは不可分だが、特に私小説の登場した明治はその傾向が強いんだなと感じる。2022/10/30