内容説明
江戸芸能界の大パトロン大枡屋嘉兵衛の寮で、盛大な月見の宴が開かれることになり、佐七と二人の子分も招待された。舟で繰り込むつもりの佐七は、柳橋の舟宿で戻り舟を待つが、なかなかこない。困っていると、花形役者中村富五郎の屋形船が通りかかったので、それに便乗した。だが、乗り込んだ直後、舟宿のおかみが凄まじい悲鳴をあげた。横溝正史自選捕物傑作選第3集! 舟幽霊/万引き娘/くらやみ婿/女難剣難/風流六歌仙/夜毎来る男/恋の通し矢/を収録。
カバーイラスト/杉本一文
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
東森久利斗
1
軽妙でテンポのよい講談風の生き生きとした語り口が心地よい。真実の闇に隠された人の業、浮き彫りとなる愛しくも醜い人間の本質。色と欲、義理と人情、うらみつらみ、人間の業の深さ、渡世の荒波に揉まれ、非情な運命に弄ばれながらも、陽気に健気に生きる市井の人々の姿が痛々しくも微笑ましい。人情味あふれる終幕が心憎い。エンターテインメントな展開、ミステリーでサスペンスな味付け、バラエティに富んだ物語は、いずれも秀作ばかり。「くらやみ婿」がベスト。2025/10/05
MIRACLE
0
「これだけは読んでほしい」と筆者がえらんだ捕物傑作選の第3集(全3巻)。表題作をふくむ8話を収録。背の文字が緑でなく、赤なので、3冊揃えたい。2012/10/14




