内容説明
心形刀流・伊庭道場の後つぎ伊庭八郎。ある理由から剣ひとすじに生きると決め、精進を重ねてきた腕は、不羈の才と評判をとっていた。動乱騒擾の絶え間ない幕末を迎え、八郎は将軍上洛に伴って京へ。幕府の崩壊を目の当たりにし、江戸っ子侍気質そのまま、同士を募って遊撃隊を組織し、怒涛の進撃を続ける官軍に挑む。武士の矜恃を胸に、短く壮烈に生きた美剣士の意気地を雄渾に描く青春幕末秘伝。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
り こ む ん
34
いい男だ。本当のところは分からないけれど、モルヒネでの最期より、この終わり方のが、良いかなあ。小説ならでわの着色?。先行きが分かっているけれど、自らの命の短さ、まわりへの想いをうちに秘めて、自らの道を進んで逝く姿に惚れる。いい男だし、気持ちのいい男だ。2016/02/26
眠る山猫屋
17
再読。伊庭八郎関連が読みたくなりました。多分最初に読んだ伊庭八郎。あっさり描かれているが、きっとその分、読み易く史実に忠実なのかな。伊庭八郎に最期まで付き合った板前の鎌吉も実在したのかな。『無尽』にも登場してますし。小田原で片腕を失うけれど、きっとこちらが史実なのでしょう。小稲との関係がとても心に残ります。2017/04/09
ミナ
7
高校生の頃の心の恋人、伊庭八郎。何てかっこいいんだ!労咳であったと思いこんでいたけど、実は池波先生の創作でした。それを子母沢先生が慧眼ですねと仰られたというようなエピソードを知ってから読んでもかっこいい!鎌吉じゃなくても惚れ込むよという永倉新八しかりの江戸っ子男子の爽やかさ。かっこいい漢に触れたければ池波作品を読むべし!だけど、小稲もつねも女もいい女なのよなー。どこをとってみても今も変わらず素敵だった。2020/05/10
ton
6
伊庭八郎についての知識ゼロでも、彼について掘り下げてしまいたくなってしまうような池波アレンジ。読むべし。終盤の鎌吉による伊庭八郎の最期語りには涙腺が緩み文字がぼやけて読めぬ…電車内で涙がこぼれ落ちないよう堪えつつなんとか読了。正に激動の人生。彼に限らず、幕末期の激しく駆け抜けて逝った数多の人生を思うと、しっかり生きねばならんなぁ、、と歴史物を読む度に思い知らされる。2017/12/19
鵺
3
読みやすいが箱館戦争の描写が少なかったのが残念。2018/10/06