内容説明
友達の姉さんへ寄せた淡い想い、夏期休暇の映画会、放課後の図書室、校庭のポプラの樹々……。過ぎ去った少年の日への懐かしみを、詩人、作家である著者が磨かれた感性で豊かに綴る青春の日の讃歌。“はるかな町”へあなたを誘う創作集。33編収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
クラムボン
9
静岡市ゆかりの三木卓さんが昨年88歳で亡くなる。鎌倉在住だった為か静岡新聞で訃報が載ったのは2週間後の12月2日。一面コラム《大自在》では短編集「はるかな町」の一篇「介添人」を紹介していた。高校の教科書で出会ったそうだ。三木さんの静岡高校時代のお話。友人が同級の女生徒に手紙で告白したが、返事を聞くために待ち合わせ場所に一人で行けない。そこで三木さんに一緒に来てもらうのだが…。満州からの引き揚げの時に父と祖母を亡くし、母親の郷里の静岡で暮らす…十代の三木さんのほろ苦い思い出が綴られている。 2024/02/02
トーマ
9
著作の少年時代のエピソードを集めた短編集。エッセイなのかと思っていたが、読んでみるとまぎれもない文学であった。無駄のない文章でありながら、著者の記憶を見るように追体験することができ、圧倒的な表現力にファンになってしまった。子供の頃、日常の中で何気なく起こっていた体験を、ここまで文学にできることがすごい。文章のうまさに関係なく、物の考え方や見方が鋭い人だと思った。これを映像化しても、明らかにつまらなくなるのがわかる。小説でしか表現できない、なんとも言えない心理が伝わり、小説の強みが何であるかを教えられた。2018/04/10
daikishinkai
1
「本の友」が面白かった。2018/09/25