内容説明
英国史上最も悪名高い王、リチャード三世--彼は本当に残虐非道を尽した悪人だったのか? 退屈な入院生活を送るグラント警部はつれづれなるままに歴史書をひもとき、純粋に文献のみからリチャード王の素顔を推理する。安楽椅子探偵ならぬベッド探偵登場。探偵小説史上に燦然と輝く歴史ミステリ不朽の名作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
606
分類するなら歴史ミステリーということになるだろうか。ここで謎となっているのは、リチャード3世。イギリス史に明るくない上に、付録の系図を見ても同じ名前がたくさん並んでいて最初は戸惑う。リチャード3世のイメージも、シェイクスピアを通じてのもの。もっとも、一般のイギリス人もそんなものみたいだが。ここではロンドン警視庁の警部がアメリカ人青年を助手に、この謎に挑んでいく。歴史家とは違って、犯罪捜査の手法を用いてだ。謎への迫り方、解明の仕方は実に見事。そして、これそのものがプロットを支えている。幕切れがまたいいのだ。2015/08/14
Kircheis
452
★★★★☆ 歴史ミステリというジャンルを確立した名作。 グラント警部が安楽椅子探偵ならぬ寝たきり探偵として、リチャード3世が行ったとされる甥殺しの真相を探る。 助手役のキャラダイン青年をはじめ脇役が揃って良い味を出しており、内容の難解さにかかわらず小説として楽しめた。 この本を読むと、リチャード3世が本当に人格者に思えるのが凄い。まさに天才たちの遊戯という感じ… しかし、何故タイトルに「娘」という言葉をチョイスしたのかは気になる。調査する側もされる側も男なのに。2022/08/02
ehirano1
234
「トニパンディ(=誰もが知っていること。だからこそ、誰もが確かめようとしないこと)」に入院中のベッドを捜査本部(?)にして挑む内容。しかし、「真実はすでに存在していたが、権威によってかき消されていた」としても、「歴史とは勝者が作る物語であり、真実は『時』によってのみ明らかになる(=真実は長い時間の奥で、誰かがもう一度問い直す日を待っている)」、という余韻が最高でした。2026/07/06
紅はこべ
184
探偵役は歴史の授業中、数学の問題を解いていたというロンドン警視庁警部と、若きアメリカ人歴史学者。つまり英国歴代国王に先入観も偏見も抱いていないという共通点がある。探偵として欠くべからざる素質。事件は嘱託殺人だから、物的証拠は関係なく、あくまでも動機が問題となる。確かに二人が真犯人と確信した人物の方が動機は明らかだな。
ケイ
180
本との出会いにタイミングがあるなら、この作品を手に取ったのがまさにそうだ。序文に引用されているアンドレ・モーロワの「英国史」におけるエドワード三世から ヘンリー七世までの歴史の記述にあたる部分を、今年の春に映画「嘆きの王冠」で観たからだ。それがあるからこそ理解できた複雑なプランタジネットやヨークの家系図。だから、療養中の刑事が、歴史書を深く読んでリチャード三世による二人の王子殺しの嘘を暴こうとする話を楽しく読めた。とはいえ、やはり真実は闇の中なのだろう。刑事の説は、どれもごもっともだが。2017/10/11




