内容説明
トリックの女王・山村美紗の代表作! 終戦直後、韓国で殺された父、引揚船の中で不可解な死を遂げた母――二人の過去と行方の知れぬ兄を追求する新進作家・湯川彩子の周辺で、つぎつぎと謎の殺人事件が発生する。被害者はいずれも亡き父と関係があり、鳥獣と縁のある寺で殺されてゆく……。巧みなトリックを駆使し、寺にまつわる伝説を織込み京都とソウルの二つの古都を重ね合わせ展開する長編ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
75
山口百恵の「いい日旅立ち」が流行った高校生の頃に読んだが、結末はすっかり忘れている。ヒロインである女流作家・彩子が書いた引揚げ体験記がきっかけとなり、生き物にまつわる京都の寺を舞台に連続殺人が起きる。彩子の前に現れた二人の兄のどちらが本物か? おぼろげな記憶を辿りながら巡る四国、京城、鳥羽の旅が郷愁を誘う。主人公が余りにも都合よく手掛かりを見つける所と警察の無能ぶりは、サスペンスドラマなら丁度よいかも知れないが小説としては物足りない。肝心の見立て殺人やダイイングメッセージはお座なりで、論理性は希薄だった。2019/01/20
kaizen@名古屋de朝活読書会
62
戦後の京城からの引き上げ者の間の殺人事件の話。 京都の6カ所の寺での事件を取り上げる 蟹寺こと蟹満寺, 亀寺こと雪舟寺, 竜寺こと竜源寺, 雀寺こと更雀寺, 鳥獣戯画寺こと高山寺, 猪寺こと建仁寺塔頭, と,鳥や獣の名前の寺である。 山村美紗長編推理選集 第2巻 にも入っている。 2010/11/19
ママ
2
山村美紗の中で一番好きなお話。
コマンドー者
0
山村氏の初期のシリアス路線の社会派本格長編。大陸からの終戦の引き上げに絡む殺人事件とその後の京都の寺を舞台にした連続殺人が展開する充実した内容である。2021/08/08