中公新書<br> 対象喪失 悲しむということ

個数:1
紙書籍版価格
¥748
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

中公新書
対象喪失 悲しむということ

  • 著者名:小此木啓吾【著】
  • 価格 ¥748(本体¥680)
  • 中央公論新社(2013/11発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29),中央公論新社 GW特大フェア ポイント増量!(~5/12)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121005571

ファイル: /

内容説明

肉親との死別・愛の喪失・転勤・浪人等々、日ごろ馴れ親しんだ対象を失ったとき、その悲しみをどう耐えるかは、人間にとって永遠の課題である。ところが現代社会はいつのまにか、悲しむことを精神生活から排除してしまい、モラトリアム人間の時代を迎えて「悲しみを知らない世代」が誕生し、いたずらに困惑し、絶望にうちひしがれている。本書は具体例によって悲哀の心理過程と悲哀の意味を説き自立することへの関係に及ぶ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

テツ

34
両親、祖父母、友人、恋人。愛していた存在を無くし(失くし、亡くし、喪くし)たときの哀しみについて。愛し、様々な形で依存していた対象が消え失せたときに、しっかりと悲しみしっかりと自分が納得するように『喪に服す』ことの大切さがぼんやりと掴めた気がします。依存すること自体は悪いことじゃないし、それを恐れていたら人間は他の人間と関係を持てない。いつか対象喪失することはあたりまえのことなんだと理解し、そのときにしっかりと悲しむ準備をしながら依存し愛するしか人間がまともに存在する術はないのですきっと。2019/01/08

ヒダン

16
死別、失恋、受験失敗など自分の心を大きく占める対象を喪失した時にどのような変化が起きるか、どのように立ち直るか、あるいはどうやって対象喪失から目を逸らそうとするかをフロイトをベースに考察する。読みながら自分の喪失体験を反芻して胸が締め付けられるような思いを味わった。論説文なのに感情を動かされる不思議な本だった。立ち直るプロセス「悲哀の仕事」を完遂しないと精神の調和を損なうことになる。葬式、喪などの儀式や宗教が「悲哀の仕事」のアシストをしていたという分析に納得したし、論全体に対する正しさを直観した。2015/07/27

豆ぽち

15
失った対象に対する思慕の情は永久に残り、この対象と二度と会うことのできないこの苦痛は依然として苦痛として残るであろう。しかしそれをどうすることもできないのが人間の限界であり、人間の現実である。大切なことは、悲しみや思慕の情を、自然な心によって、いつも体験し悲しむことのできる能力を身につけることである。/心の健康とは、憎しみ、悲しみ、不安、罪意識の無い、幸せと満足がいっぱいの快適なだけの世界のことではない。むしろ悲しみを悲しみ、怒りを怒り、恐れを恐れとして感じることのできる世界のことである。2013/04/24

ステビア

13
実際に対象喪失を経験した/している人が読むとどう思うのかな。メッセージとしては自然に悲しみなさい、と言うことだと思う。2014/04/14

またの名

10
「必ずしも個人的・直接的な関わりを持った人物でなくてもよい。同じように年をとっていく政治家でも俳優でもよい。年をとるにつれて、同級生の死からこうした同世代の政治家やスターの死に至る対象喪失の機会が、次第にふえていく」ばかりか、危機の時は同時多発的に別れが発生。人物や事物、環境といった様々な対象へ注がれた愛憎のエネルギーが強ければこそ死んでないよねと現実否認したり逆ギレしたり誰かのせいにする、心理を解説。フロイトについての理解が古いとはいえ、付き合う男性を捨てては芸の肥やしとして食らう女優の例などが面白い。2020/03/31

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/505156
  • ご注意事項