内容説明
ある日、私の仕事部屋を二人の黒人が、わざわざアフリカから訪ねてきた。彼らは私に、時間を支配する女神「セルーナ」の像をかえしてくれというのだ。すべてが初耳で、何が何やらわからぬ私に、彼らはその気になるまで、いつまでも待っていると言って帰っていった。ところがその直後、私の旧友がアフリカ旅行のみやげと言って、セルーナの女神像らしい木彫りの人形を持って現われたのだ――。表題作ほか、日常生活の中に起こる奇妙な話を描く傑作短編八篇を収録。
カバーイラスト/杉本一文
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kouro-hou
18
現代SF、時代劇と著者らしい幅の広い短篇集。「巨大餃子の襲撃」は本当に宇宙餃子が日本を襲います。しかし餃子と一見無縁の長い前フリエロトークが有り、何でそもそも餃子なのかと考えると楽しい。時代劇3つは、殿様が松平忠輝?それアカン奴や!等と渋い展開が多いが、現代SF3本は良かったなー的に終わるのが多いなと考えたら主人公が半村良であった。 講演旅行中に懐かしい親戚の夢をみたところ、「あれ、お前死んだから来たんじゃないの?」「いけねえ、お茶飲ませちゃった」ヨモツヘグイ!と大騒ぎする「おなじみの夢」がお気に入り。2016/12/26
MIKETOM
9
この作者、このタイトル、この装丁からして本格的ハードSFかと思ってたら全然違った。小松左京風バカげたSFと、SFかそうじゃないのかよくわからないのと、現代物と、シリアス時代物というなにやらまとまりのないごちゃごちゃした短編集。『伊勢屋おりん』伊勢屋の娘が絶世の美女で、一目見た男は皆惚れこんでしまいなんやかんやと争いが起き死人まで出る始末。とまあ、ただそれだけの話なのだがこれがけっこう面白い。ラストのおりんの独白はいかな絶世の美女であろうとも結局はそこらのねーちゃんと変わりはないんだなと妙に納得させられた。2025/01/29
紫草
6
半村良ってSFだとばかり思っていました。とても幅広い方なんですね。「おなじみの夢」熱出た時って、同じ変な夢見るの、みんなそうなんですね〜。それと、時間に関係する女神の話「セルーナの女神」。理不尽な目にあったりするのは原因がまだないうちに結果が発生したからだって。理不尽なんじゃないんだね。なんかちゃんと理由があるけど、その理由はあとからやって来るんだ。おもしろかった。2017/01/19
かながわ
1
統一感なくて戸惑う、序盤イマイチ楽しめず。ただし後半!時代物は情緒的あって良いし、「おなじみの夢」「セルーナの女神」は奇妙な味で、好き。そして…目的の短編は…あんまり餃子じゃない!2020/04/01
冬至楼均
0
ちょっとエッチなSFとまじめな時代小説が半々。実に幅広い。2015/01/02