内容説明
植村直己はいかにして冒険家になり、いかにして「世界のウエムラ」になったか? ひとりの腕白少年が、大学へ進んで美しい山々と出会い、無一文で日本を脱出、ヨーロッパに渡りアルバイトをしながら、ついに五大陸最高峰のすべてに登頂を果たす。さらには南極大陸単独横断という目標めざして、アマゾンのイカダ下りなど過酷なまでの試練に次々と挑戦する――。大自然の中の「何か」に挑まずにはいられなかった冒険家が、みずからの型破りな青春を語り尽した感動篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りんご
39
植村直己、冒険家。「冒険家て!」と今聞くとふふっと笑いそうになりますが、冒険家以外に言いようがない。(次はこれをやってみたい)(いつかあそこに立ちたい)名声を求めるわけでなく、とにかく自分がワクワクするから。理由はそれだけ。本のクライマックスはやはり五大陸最高峰を踏破するところだが、“登頂の感激より次の夢が膨らんでくる”。ご存知の通り、彼は冒険から帰らないままです。知ってて読むと涙が溢れます。それにしても飾らぬ、カッコつけない文章が気持ちいい。絶対に自分がいけない場所に行った気になれました。2022/03/17
Kajitt22
39
不世出の冒険家、登山家、植村直己の二十歳台の軌跡。チリチリするような青春の日々が、かざりけのない文章から伝わってきて、またしても一気に読めた。フランスアルプスのモルジンヌ、ヒマラヤのゴジュンバ・カン、ケニヤのサファリとキリマンジャロ、南米アコンカグア、アマゾンそしてアラスカ。植村直己はきちんと日記をつける人だったのだろう。青春冒険紀行の聖典です。再読2018/05/15
ちぃ
32
上司に借りた本。冒険譚もすごいけど、それを成し遂げるための熱意と行動力、人を味方につける力がすごい!亡くなるとき彼は何を思ったのかしら。植村さんについてもっと知りたくなった。2018/03/13
そふぃあ
28
kindleの日替わりセールで購入。29歳で五大陸最高峰全制覇とか桁外れに凄すぎる。その合間に60日間アマゾンいかだ下りしていたとか、信じがたい。植村さん本人は、幸運や人に恵まれたからと控えめな態度だけれど、こんなにひたむきに夢を追っている人を、応援せずにはいられないのが人の情だと思った。2015/11/10
akira
24
気になっていた冒険家植村直己。 弟に名前を聞いたのはもう10年以上前。縁あって本として出会う。 全世界の最高峰のほとんどに単独で登頂してきた著者。なにゆえ、彼が登山家ではなく冒険家と呼ばれたのか。決して恵まれた環境があったから達成できたのではないだろう。しかし、人と時は彼を見放さなかった。 他人に生きる人間が多くなる中、自身に生きるとは何か。著者の言葉は静かに心に響く。 「人の目につくような登山より、このエーデルワイスのように誰にも気づかれず、自然の冒険を自分のものとして登山をする」2015/09/25