内容説明
徳川幕府が開府と同時に、全国諸藩の動静を探るため潜入させた隠密群があった。筒井藩士・弓虎之助もその一人。その彼に藩の遺金八万両の隠し場所の探索という密命が下った。彼を隠密と知らず抜擢する藩の重役、非常な掟を強いる“声”。両者の間にたって苦悩する隠し隠密の生きざまを描く異色作。
感想・レビュー
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saga
50
【古書】日本海に面した10万石の筒井藩に潜入し、一子相伝で幕府隠密の秘密を守ってきた弓家。9代目の虎之助の代にあっても忍びの修行怠りなく、公儀の密命に当たれるというのがワクワクさせる。本筋は、公儀が筒井藩の埋蔵金に目を付けたことから始まった騒動の中、筒井理右衛門老中も良い味を出していた。堀口左近老中の妹の豹変ぶりは、著者の、というよりその時代の女性観の現れであろうが、今読むと少し引いてしまうな~2023/05/28
Tadashi_N
29
表の仕事の裏の任務の間で揺れる主人公。非常になりきれない。2017/04/26
ヤンタ
6
題名でなんとなく避けていたが、どっこい、池波先生の時代小説の醍醐味を味わえる作品だった。 小説の中の主人公 弓虎太郎の人間性に、思わず惹かれる思いがした。2016/03/14
ガンバ郎
4
初めて読んだ時代小説だったが思っていた以上に読みやすかった。ただ、慣れていないからか、登場人物の名前がみな同じように見えてしまい、途中から混乱してしまった。女性の強かさがよく伝わる作品でした。2016/08/26
唐辛子仮面
4
友人に著者池波さんの本を勧められて、タイトルが変わっていたので手に取りました。 舞台は江戸時代。徳川幕府が開かれて以来、親から子へと9代に渡ってスパイとして潜入している主人公。安穏に過ぎていった日々に転機がおとずれる!という感じで、テンポよく展開され、物語に引き込まれて一気に読みました。面白かった。2016/01/19