内容説明
日本帝国海軍かく戦えり! 南太平洋の荒浪のただ中、史上最強の米機動部隊に熾烈な海戦を挑むこと数度、太平洋海戦中もっとも長期にわたって勇戦奮闘した「栄光の空母・瑞鶴」。不沈艦の名をほしいままに、シブヤン海で激闘九時間。ついに海のもくずと消えた世界最大の巨艦の最期を描く「戦艦武蔵自沈す」など、連合艦隊の華麗な日々とその苛酷な運命をたどる海のドラマ集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シャル
10
太平洋戦争における日本帝国海軍の死闘と、そこにいた兵士たちの心境や心情を描いていく短編集。海の上でただ敵を待ち、戦う彼らは、国のためという壮大な意識を持つわけでもなく、捨鉢な意識というわけでもなく、日々があり、生活があり、そこに任務があり、意地があり、その先に待ち受ける死線の間で揺れ動き続けるその姿は、まさにそこにいる人間そのもののようである。ラストの『最初の捕虜』とされる甲標的乗員の絶対状況下での話が個人的に好み。揺れ動く生と死、特攻と撤退、捕虜と名誉の死かの混ざり合った感情の動きが実に印象的である。2015/05/18
こまったまこ
8
伝え聞いた戦争体験記を小説風にした作品集。自分がキングストン弁を開けて武蔵を自沈させたと苦悩する話と最後の”最初の捕虜”になった人の話が興味深かった。武蔵の話は主人公がボイラーを扱う機兵長というのが珍しかった。特殊潜航艇の話は酒巻氏ご本人の話を読みたいと思った。2015/05/24
May
4
豊田は海兵68期の99艦爆操縦手。い号作戦時に撃墜され捕虜となり、戦後、新聞記者を経て作家に。本書収録作は、S46~49の艦艇系の短編。収録作品は、小説というより、戦史を語る合間に創作であろう会話が挿入される、という戦史に寄ったもの。戦史は随分と読んできたので、読みやすくはある。作品当然読んでいるものと思ったが、記録が見つけられない。どうやら36年ほど積読していたようだ。2024/12/22
TEDDY曹長
2
淡々と表現される文章に重みを感じます。戦地での激戦や混乱の様子、将兵の苦悩が感じられますね2015/03/07