内容説明
山代は、現在そうした曾ての彼女への思慕が、完全に自分の心の中で死滅してしまっているのを感じた。あのように決して消えることのないものとして自分の心の中に大きい爪跡を残していたものが、どうして失くなってしまったのであろうか。三年間の過去と一緒に、彼女への烈しい思慕の気持もすっぽりと形を消してしまっていた。……人間にとって、過去とは何か。生きるという現実のなかにある過去の重みを、元新聞記者の、事故によって失われた時間の謎を追求しながら確かめた問題長篇。
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