内容説明
南アフリカ出身の重要作家ベッシー・ヘッドが、亡命先ボツワナで発表した1968年の長編第一作、待望の邦訳。アパルトヘイトの抑圧から逃れ、自由を求めて国境を越えた青年マカヤは、ボツワナ農村の開発に関わりながら、差別や抑圧、人間の善悪を目の当たりにする。貧困、開発、宗教、民主主義、ジェンダー、部族主義と向き合い、鋭い筆致で人間の本質を描いたアフリカ文学の傑作。
著者等紹介
ヘッド,ベッシー[ヘッド,ベッシー] [Head,Bessie]
1937年、南アフリカ・ナタール州ピーターマリッツブルグの精神病院で生を享ける。アパルトヘイト法の下、異人種間の結婚・性的関係が違法だった中、白人の母親と黒人と思われる父親(不明)のあいだに生まれたが、預け入れられていた英国系ミッションスクールで初めて出生の秘密を知らされる。その後、教師の職を経てジャーナリストとなり、ハロルド・ヘッドと結婚するが離婚。アパルトヘイト下で政治活動に関わっていたためパスポート取得が許可されず、26歳で幼い子どもを連れ出国許可証のみで隣国ボツワナに亡命。以後、22年間で孤独な暮らしと貧困の中、精神疾患を経るが、やがて作家として名を知られるようになる。三編の主な長編小説と、その他短編小説、エッセイ等を出版し、世界各地の文学イベントや大学で登壇するなど活躍を見せるも、1986年、48歳で肝炎を患い、南アフリカに戻ることのないままセロウェにて急逝する
横山仁美[ヨコヤマヒトミ]
1976年生まれ。大学学部生時代に偶然選択したアフリカ研究のゼミがきっかけでアフリカ地域研究を始め、南アフリカとボツワナの作家ベッシー・ヘッドを知り、以後彼女の小説の翻訳をライフワークとする。1998年にボツワナにてベッシー・ヘッドのアーカイブ調査を実施。2001年英国エディンバラ大学アフリカ研究センター修士課程修了。2005~2007年、外務省専門調査員として在ジンバブエ日本大使館に勤務。JICA(独立行政法人国際協力機構)、JETRO(独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ))を経て開発コンサルティング企業に勤務し、アフリカ地域を中心にODA(政府開発援助)プロジェクトに携わる。2023年、雨雲出版を設立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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