内容説明
町田康、初の短歌集、全首書き下ろし。
著者等紹介
町田康[マチダコウ]
昭和37年、大阪府堺市生。作家。高校卒業後、歌手を経て平成8年小説に転じ現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
158
町田 康は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、著者初の短歌集にして、全首書き下ろしとのことです。 旧字体や読めない漢字もあり、結構難解でした。 著者自身の解説本を読みたいです。 https://cotogotobooks.stores.jp/items/65a62e663a6cff0030279f362024/05/19
榊原 香織
103
”山岡が頭巾かぶって生きてゐる頭巾かぶって生きる山岡” 過激作家が俳句に走っているのは知ってたけど、あまりにも元ネタが分からなさすぎる。 山岡って誰なんだろーと思いつつ 他のはもっと分からない2024/08/27
ふう
66
どこかで「感情だだ漏れの短歌は詠まない」と町田氏が言っているのを読んだ記憶があります。記憶違いかもしれません。わたしの短歌は、啄木の感情を詠んだ歌からスタートしたので、町田氏の短歌をどう捉えたらいいのか難しく、一句一句固まりながら読みました。固まらずに読めたものを少しだけ紹介。 ◇共感の乞食となりて広野原彷徨いありく豚のさもしさ ◇もはやもうなにもしないでただ単に猫を眺めて死んでいきたい ◇西成の道でくびれだ友達を見ない振りして過ぎる青春 ◇人々がパイの実食べて生きる日々そのあちこちに神はゐやはる2024/07/04
shio
35
脳天に踵落としを食らったような、一首一首がズゴンと響くのはさすがの町田康。意味は正直分からんものの、小説より濃厚な味わいはある。気がする。三十一文字の中の「尻子玉」の強烈なインパクトよ…。日常での発想が多いそうで、食べ物率も高め。うどんとか。「分度器を当てて測った尻子玉言葉の奥に春ぞ埋もる」「五分ほど迷うて買うた柏餅みんな悲しく自分なんだよ」「阿呆ン陀羅しばきあげんど歌詠むなおどれは家でうどん食うとけ」「作るなよ自在自由に作られろ豚に生まれろそれが歌やぞ」「諦めろおまえは神の残置物祈りとしての恥を楽しめ」2024/11/27
道楽モン
30
木村綾子さんが奮闘しているCOTOGOTOBOOKSの記念すべき出版第一弾は、352首の短歌を収めた町田康の初歌集。すわ、異種格闘技ならぬ短歌界への殴り込みかと思ったけれど、徹頭徹尾の町田節で短歌に革命を起こすというより形式を借りた自己表現。揺るがない。語彙の選択と組み合わせの妙による言葉のリズムと異化に徹し、本家の歌人たちの短歌にある物語もロマンも哀切などを微塵も感じさせない。ロックや小説やエッセイもそうだが、短歌ですら町田康なのだ。権威や既成概念や様式に中指立ててNo!を宣言する、まさにパンクなのだ。2024/03/22