目次
北鎌倉の家
北鎌倉の家の庭
小津映画のきもの帖
雑誌「ミセス」の連載
作家や映画人を魅了した仕事
浦野の仕事を支えた染織の職人
著者等紹介
浦野理一[ウラノリイチ]
1901~1991。染織工芸家。日本橋の白木屋呉服部に勤めていた二〇代から、日本古来の裂、紋様、色に関する古書を蒐集し、日本伝統の織物を研究。唯一無二の柄ゆきや染めのきものを考案した。小津安二郎と交流があり、小津映画『彼岸花』、『秋日和』、『秋刀魚の味』など六作品の女優のきものを手掛けた。1958年には、『幸田文全集』の造本に理一の紬が採用され、「幸田格子」と名付けられた。63年1月号から雑誌「ミセス」に染めと織りの随想と新作きものの連載を開始。亡くなる歳まで創作を続けた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tamami
43
かつて、浦野理一という染織工芸家がいた。…ついには、染織の仕事を始める決意をし、…長野県下諏訪町に手織り工房を構えた。その頃…小津安二郎と出会った。…理一は、原節子や山田五十鈴、杉村春子らのきものを手がけることになる。(本文より)本書には、浦野理一が小津安二郎作品のために手がけた膨大な着物作品や、用意された裂見本、雑誌『ミセス』に掲載された作品とモデルとなった女優陣の写真が、全ページカラーで紹介されていて、呉服・織物という日本の伝統芸術の世界に浸らせてくれる。ページを捲っているだけで時間を忘れさせられる。2025/04/26
ふう
23
誠光社にて一目惚れ。知らない名前、と思って読んでいるうちに、亡母が何冊か買っていた雑誌「ミセス」で見た記憶が蘇ってきた。いしだあゆみの椿のきものなど垢抜けて美しく、色っぽい。小津映画に多用された経節紬、ざっくりした民藝風のものだが、小津映画の滋味のような味わいに通ずるところがあり、なるほどなあ、と感嘆。白木屋の呉服部勤務から始まり、下諏訪に工場を持つようになり、幸田文全集の装丁や野村證券の増資記念品に使われ、出版社が定期読者を獲得した書店に浦野の反物を100反プレゼント‼️って、羨ましい時代があったんだ。2024/12/06
紫羊
22
ミニシアターの売店で購入。紬のデザインが使われたカバーが美しい。浦野理一氏のことはほとんど知らなかった。染織作品だけでなく、自宅や蔵書、彼の作品である着物を纏った昭和の女優たちの写真が多数。眺めているだけで心豊かになる一冊。2024/07/31
kaz
2
浦野理一が手がけた小津映画の着物を中心に、その染織工芸家としての仕事を紹介。小津安二郎監督との交流や、映画衣装としての着物の魅力が詳述されている。作品は、日本伝統の織物を研究し、唯一無二の柄ゆきや染めのきものを考案した点で高く評価されているようだ。自宅も、いかにも小津映画に出てきそうな雰囲気。2024/09/19