内容説明
「ほんとうにひとりのひとり暮らし」を機に、日記をつけ始めた詩人。島での免許合宿、ソロハイク、初めてのドライブ…40代の広すぎる道を、確認しながら自分で運転してゆく日々が始まった。“たぶん私はいま、自分の外に出ていきたいのだろう。風で道の脇に落ちた、小枝のようなものになりたいのだろう。そういう私自身を、じっくり引き受けてやりたいと思う”
目次
ある冬
春と夏
合宿
立秋まで
ソロハイク
運転しない日々
珠洲へ
奥会津へ
南伊豆へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆみのすけ
24
五島の教習所での合宿、日記のワークショップ、珠洲でのイベント、そして何気ない日常を語った日記。著者の作品に触れたのは初だが、詩や小説を書かれている方とのことで、文章がとても詩的で美しく、スッと心に入り響く。読んでいて、心地よく、1日の終わりに少しずつ読み進めた。読むと自然と心が落ち着き、整うように感じた。他人の日記を読むのが心地よく、面白いと感じたのは初。それは発見でもあり、新しい出会いでもあり、なんだか嬉しい。2025/06/22
北京ダック
7
初めての大崎さんの本。大崎さんのある日常を綴った日々の日記。読むうちに自分の心が救われているというか.癒されていることに気づきました。なんでもない私の日々にも気づきを与えてくれる。 私は人の日記を読むのが好きなのかもしれないなとふと思わされる。武田百合子然り、堀静香然り。読んでいるというより、お話を対話で伺っている気分になる。 その日の大崎さんの気持ちに寄り添う形で、今度はその日にその部分だけ読んでみたい。2024/09/29
椎名
4
運転免許合宿でのエピソードを中心にした大崎さんの日記。エッセイというより、本当に日記の文体。こういう日記もあるんだと思うと、もう少し自分の日常を記録していこうと思える。「車はいない乗り物だと思った。こんなにどこまでも行けてしまって。こんなに人間を甘やかす乗り物があってもいいのか」とあって思わず笑ってしまう。そういう感性がすごく素敵だと思った。 そして豊島に旅行に行った際に十数年ぶりに自転車に乗って「座ったまま移動できてすごい」と思った時の思い出が蘇った。2024/11/17
もてこ
2
本屋で偶然出会って購入。著者のことは知らなかったが普段は教壇に立ったり詩を書いたりしている人らしい。ペーパードライバーを最近卒業した自分が今読むのにふさわしい日記本だった。読んでいると、運転席から見える海と青空の景色が頭に浮かんできた。ところどころ江國香織の文章を思わせるような言葉選びがあり、文章から漂う空気感も似たところがあった。2024/06/25
エオリアン
0
著者の2023年を断続的に綴った日記。旅先のことや、食事についての描写が多く紀行モノのような要素も多く、筆者の語彙や知識の豊富さと詩的感性の背景を知ることができるのはいいと思った。日記とはいえエッセイのような要素もあるので、もう少し著者の思想が表現されてもいいのにとも思った。本日記の舞台だった長崎の五島(福江島)、珠洲、奥会津、南伊豆といった自然豊かな土地で著者が編んだ詩を読んでみたい。2024/04/17