内容説明
本書、『純粋思考物体』は、詩人・河村悟の手によって1989年に書き終えられ、その原稿を目にした人々のあいだで、永らく書籍化が待ち望まれてきました。完結からおよそ30年後、本書の刊行を企画したのは、河村悟を敬愛してやまない作家・佐藤究です。佐藤が『テスカトリポカ』で第165回直木賞を受賞してまもない2021年の秋、本格的なプロジェクトがスタートしました。1ページにただ1行の詩、あるいは舞踏論の断章、ちいさな寓話、そして詩人の手による絵画やポラロイド作品までが収められた本書は、まさに「詩・イメージ・ことばの迷宮」となって、わたしたちを芸術と生の根源へ、謎めいた渦の中心へいざないます。