目次
海芝浦―笙野頼子『タイムスリップ・コンビナート』
東向島―永井荷風『〓東綺譚』
犬吠―古川日出男『ベルカ、吠えないのか?』
蕨、上野、亀戸、御茶ノ水―後藤明生『挾み撃ち』
河口湖―太宰治『富嶽百景』
金沢文庫―高橋源一郎『さようなら、ギャングたち』
馬喰町―宮沢賢治『銀河鉄道の夜』
池上―尾崎翠『第七官界彷徨』
産業道路―大江健三郎『万延元年のフットボール』
高輪ゲートウェイ―牧野信一『ゼーロン』〔ほか〕
著者等紹介
わかしょ文庫[ワカショブンコ]
作家。1991年北海道生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
108
小説の舞台になった土地を巡りそこで感じたことや思ったことをまとめた紀行書。今だから感じる。コロナ前にこんな旅行していればと思ってしまうほど良かった作品!紹介されている小説を読んでいないものもある。だが、この本は原作を読んでいなくても十分に楽しめるものだと第一章から感じた。なぜだろうと思ったら小説の内容よりその舞台になって土地の話や食べ物の話、著者の話が面白いからだと気づいた。面白い文章だからこそ、原作を読んでより理解したい。その舞台に行ってみたい。そんなふうに感じた。何気なく旅行出来るって幸せだと思った!2022/01/10
アキ
97
小説の舞台に出掛けて行きその小説を読む企画。2019年から始まったが、2020年新型コロナが来る。「その日でならなかった日に、その場所でなければならなかった場所で、しなければならなかったことをする。あらかじめ定められた運命を全うする。些末な枝葉も結末からたどれば必然であり、読み終わる頃には伏線だったと気がつく。この世界でおこる出来事はあらかじめ書かれており、生きるということは書物をたどる行為なのだ。」今日という日は、自分の人生のどんな結末の伏線なのだろう。無限に思えた未来を、たったひとつの過去にしながら。2022/01/02
@nk
46
本を携え、どこかへ行く。そこで小説を読み、思うことを書く。そんな15章分が収められた1冊。/著者が訪れるのは小説と何かしら繋がりのある場所。わかしょ文庫とは、一体何者なのだろう。ときにユーモラスであり、ぐっと惹きつけられる1文を射し込んだりするあたり、実は著名な作家なのではあるまいかと思いながら読み進めた。/一方で著者はというと、出だしこそ意気揚々だったらしいが、(会社員をしながら)何者かになろうともがきながら書いていたらしい。そしてWeb連載でのラストだった第12章を機に、書くことに吹っ切れたのだと⇒2025/09/10
kawa
28
小旅行をしながらその場所に合う?小説を紹介語り。内省的なものより、作者の趣味や人柄がストレートに読める「両国」や「落合南長崎」が楽しめた。海芝浦駅なんて初知り…機会があれば訪ねたいリストにテイクノート。因みに「わかしょ文庫」はペンネーム。さら因みに「ベジマイト」(トム・ジョーンズ/『ロケットファイア・レッド』)が懐かしくて、本筋でないところで反応してゴメン。2023/05/27
がらくたどん
28
年齢的にもう引き波ゾーンなので仕事だとか介護だとかが自分の人生からスススと引いていく日は遠くない。多分「ほっ」と「あ~あ」の詰まった空白ができるはず。その時は本を持ってその本に似合いそうな場所へ行って読書をしようとかねがね夢想していた。所縁の場所過ぎたら御当地演歌みたいだし、場所と文章の両方に刺激されたらむしろ意識は内省に向かいそうだし。実際どうなのだろう?と先の思案に暮れていたら、あるではないか「読書紀行」。ベルガで犬吠、筆名で金沢文庫。よしよし。本に導かれる内省はただの内省より始末も良い。良き指南書。2021/10/20
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- 和書
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