内容説明
絶望の淵にいた私を救ったのは、体に染み込んでいた賢治の言葉!賢治の没年齢と同じ、37歳で失明からの再出発を余儀なくされた中学教師である著者。賢治の言葉に救われ、その力強さ、奥深さを身をもって知ってからは、それを子どもたちに伝えることが生涯の使命だと感じるように―。
目次
第1章 妻と賢治の言葉に救われたいのち(死への誘惑をふり払った家族の絆;開きはじめた復職への扉;思わず唱えていた「雨ニモマケズ」)
第2章 視力を失って見えてきた「ほんとうのこと」(養護学校の「虔十」たち;盲学校の生徒たちと「よだかの星」を読む;賢治先生に触発されて;賢治の師、私の師)
第3章 体に染み込む賢治作品(絶叫の授業「オツベルと象」;「どんぐりと山猫」の真実;犬と生きる)
第4章 「秩父人」は賢治を忘れない(若き日の賢治が歩いた秩父路;賢治の友、私の友;未来の賢治とともに)
著者等紹介
新井淑則[アライヨシノリ]
1961年、埼玉県生まれ。中央大学文学部を卒業後、埼玉県内で中学校の国語科教師となる。89年、右目に網膜剥離を発症。休職後、養護学校に異動するが、95年には左目も失明し、全盲となる。約半年のあいだ自宅に引きこもり、絶望のなかで自殺も考える。だが、妻や家族の支え、視覚障碍の高校教師との出会いなどをきっかけに復職を決意。99年、盲導犬とともに養護学校に復職。その後、盲学校に勤務。2008年、埼玉県長瀞町立長瀞中学校に赴任。14年、同校1学年のクラス担任となる。15年、同県皆野町立皆野中学校に赴任。宮沢賢治作品の音読を取り入れたユニークな授業で知られる。また、市民団体「ノーマライゼーション・教育ネットワーク」の代表として、障碍者と健常者がよりよく共存できる社会や教育現場を実現するための活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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