ヒロインズ

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  • サイズ 46判/ページ数 409p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784990997106
  • Cコード C0098

出版社内容情報

夫や愛人のかげで声を消されながらも書いた女性たちの生きざまと、作者の私的な語りを織り合わせたもうひとつの文学史。彼女たちもこの道を、めちゃくちゃになりながら進んでいった ?-
すべてのトキシック・ガールのための反逆のマニフェスト  

2009年、ケイト・ザンブレノは数年来取り憑かれてきたモダニズム作家の「妻や愛人たち」についてのブログを始めた。ときに偉大なる男性文学者のミューズになり協力者になるいっぽうで、自らの言葉を奪われ、名前を消されてしまった彼女たち。精神の病と診断されて苦悩の中で生涯を終え、あるいは自分も書きたいと思いながら叶わなかった女性たち。大学で働く夫の「妻」としてオハイオ州のアクロンという小さな町に暮らす無名な作家である自分の孤独や無力感、怒りを重ねつつ、ザンブレノは彼女たちをはじめとする文学史上の書き手とヒロインたちを〈私の見えないコミュニティ〉として描き出す。そうするうち、やがて新たに生成していくもうひとつのコミュニティが、そこに連なる。

文学とは何か、狂気とは? それを決めるのは誰か?

家父長の言葉が支配する枠組みの中で声を抑えられた女性たちに寄り添い、彼女たちの物語を響かせようとする試み。あらゆる引用とパーソナルな記録の断片を無限に重ね、織り合わせることで現れる〈私たち〉の姿とは。

本書で主に取り上げられるヒロインと作品たち

ゼルダ・フィッツジェラルド/ヴィヴィアン・エリオット/ジェイン・ボウルズ/ヴァージニア・ウルフ/エンマ・ボヴァリー(『ボヴァリー夫人』)/アナイス・ニン/ジューン・ミラー/「私」(『黄色い壁紙』シャーロット・パーキンス・ギルマン)エドナ・ポンテリエ(『目覚め』ケイト・ショパン)/ジーン・リース/デューナ・バーンズ/ルイーズ・コレ/コレット・ペニョ(ロール)/ルチア・ジョイス/フランシス・ファーマー/ウニカ・チュルン/アンナ・カヴァン/エリザベス・ハードウィック/メアリー・マッカーシー/シルヴィア・プラス など など … …

装丁:PRETEND Prints & Co. 表紙イラストレーション:カナイフユキ

ケイト・ザンブレノ[ケイト ザンブレノ]
著・文・その他

西山敦子[ニシヤマアツコ]
翻訳

著者等紹介

ザンブレノ,ケイト[ザンブレノ,ケイト] [Zambreno,Kate]
1977年生まれ。編集者やライターなどを経験したのち、2009年に作家リディア・ユクナヴィッチの出版社キアスムス・プレスが主催した“Undoing the Novel”コンテストで見いだされ、O Fallen Angelで小説家デビュー。2018年現在コロンビア大学、バーナード大学、サラ・ローレンス大学で教鞭をとる。ニューヨーク在住

西山敦子[ニシヤマアツコ]
1978年生まれ。慶應義塾大学大学院修士課程(米文学専攻)修了。静岡県三島市のオルタナティブ・スペースCRY IN PUBLICを拠点に翻訳・出版プロジェクトC.I.P.Booksを主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

118
前半は頑張って理解しようとしたが、後半は流し読み。これを書いてどうなるのかな。書く欲求が迸るほどあるならば、過去の女性の詳細を調べる時間に、どんどん書けばいいのに、と思った。2019/05/04

かふ

24
文学の世界で男性作家のミューズ(女神)として崇めながら実は「ヒロインズ」(彼女たち)の表現は男たちに封印されてしまう。  著者はヒロイン達に憑依した書き方である上に、さらに自分の体験を織り込むので、かなり錯綜した語りになっている。ゼルダ・フィッツジェラルドの作品が現在では出版され、一部の人の関心を呼んでいるのは、彼女の作品を必要とする人がいるからだろう。このザンブレノの本もそんな彼女の本を必要とする者に向けられて書かれたのだ。過剰に狂気を持って。2023/01/06

くさてる

20
ヴァージニア・ウルフ、ゼルダ・フィッツジェラルド、ヴィヴィアン・エリオット、その他たくさんの女性作家の声を聞く。彼女たちのたどった人生の流れと、残した文章を読み解くそのスタイルは、ときに恣意的なものとなり感情的なものとなり、まとまりがないかもしれない。けれどそれは熱く、ぞっとするほどの絶望感と怒りに満ちている。しかしそれは正しい。生まれては消えていく認められない女性の声を、もういちどこの時代に捉えなおすには、そういうやり方がふさわしい場合もある気がした。良かったです。2019/05/15

ふるい

15
"偉大なる男性作家たち"の妻、亡霊のような扱いを受ける彼女たちの声に耳を傾け、その怒りや悲しみを書き連ねていく。妻は夫の所有物なのだから、夫の仕事を支えるべく従順で献身的であるべきと説き、彼らの規範から逸脱する女は"病人"扱い。女が、溢れ出る思いや情熱を、書きつけたいと思うのは罪だろうか?そんな妻たちの系譜に自らを連ねる著者自身の経歴と、なきものにされてしまった女性たちの声なき声が重なってゆく。沈黙は何より恐ろしい。思うところを、書いて書いて、書きまくるべきだ。何者も私たちを妨げる権利などないのだから。2018/12/15

kochi

14
「私はゼルダ、私はヴィヴィアン」著名作家の妻として生きるしかなかった彼女たち、書くことを奪われて精神に不調をきたさざるを得なかった彼女達の様々なエピソードが、作者自身の日常に侵入してきていて、まさに「漂うように挟まれる逸話の数々に、実在する人物や文学への言及などが織り合わされた、タペストリーのようなテキスト。」一見取り留めのない文章なのだが、参考文献のまとめ方などを見ると、意図的な表現なのかとも思う。読みながら何となくは罪悪感に近いものを感じ、帰宅して、わたしは配偶者の言いつけに、ひとつ、従うのである。 2020/12/19

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