内容説明
詩人/小説家・原民喜が遺した童話7篇/全集未収録の詩編1篇を収録した“原民喜童話集”と、蜂飼耳(詩人)、竹原陽子(原民喜文学研究者)、田中美穂(エッセイスト/蟲文庫店主)、須藤岳史(古楽演奏家)らが作家への思いを綴った書き下ろしエッセイ、および外間隆史による想画集を収録した“別巻『毬』”との函入2冊組。
目次
原民喜童話集(山へ登った毬;気絶人形;うぐいす;二つの頭;誕生日 ほか)
別巻『毬』(鈴に気づく日(蜂飼耳)
原民喜童話と『星の王子さま』(竹原陽子)
稀なる星よ、一羽の雲雀よ(須藤岳史)
幻のみどり(田中美穂)
民喜の中の地下水―原時彦氏をたずねて(外間隆史) ほか)
著者等紹介
原民喜[ハラタミキ]
1905‐1951。詩人・小説家。被爆体験をもとに著した『夏の花』が代表作と言われているものの、詩作/創作小説・童話/エッセイなどに作家としてのきわめて純度の高い真骨頂が現れる。1951(昭和26)年3月13日、国鉄線・西荻窪~吉祥寺間の線路上で自死
蜂飼耳[ハチカイミミ]
詩人、作家。1974年生れ
竹原陽子[タケハラヨウコ]
原民喜文学研究者。1976年生れ
須藤岳史[スドウタケシ]
音楽家/ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者。1977年生れ
田中美穂[タナカミホ]
エッセイスト/蟲文庫店主。1972年生れ
外間隆史[ソトマタカフミ]
編集者/作曲家。1962年生れ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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チェアー
14
原民喜といえば「夏の花」と原爆というイメージだったが、こんなかわいい童話を書いていたのか。わたしの好きなのは「二つの頭」と「ペンギン鳥の歌」。後者は勝手なメロディで歌いたくなる(読んだ人はみんな歌ったと思う)。多くの作品では「大切なひと」がテーマになっているようだが、無理してテーマでくくらなくても、言葉と話を楽しむだけで十分なような気がする。そして装幀が素晴らしい。活字の一つひとつをさわりながら読むのが楽しい。大切につくられた本なんだなあと感じた。別冊の原時彦さんの話も素敵。2018/03/09
つちっち
9
地上に咲くコスモスに憧れるモグラの子どもを描いた『もぐらとコスモス』が印象的。 昔は子どもだった大人に向けて書かれた童話。2022/12/05
黒木 素弓
9
ピュアで繊細な童話を書く原民喜は、普段は全く喋らない、人とのコミュニケーションがとても苦手な人だったそうです。原民喜の童話集は心が洗われる感じがします。別巻の『毬』は5人の作家の原民喜に関するエッセイ、これも作家それぞれの味わいがキラキラしてます。2018/01/23
葵衣
8
初めて読んだ原民喜の作品。どれもほんわかと心が温かくなる作品ばかりだった。最後の「ペンギン鳥の歌」は、読みながら一緒に声に出して歌いたくなる。別巻の『毬』に収録されている原民喜に関するエッセイも、とてもよかった。2018/06/22
バジルの葉っぱ
2
穂村弘さんの読書日記でふれられていた本。原民喜といえば夏の花しかしらず童話集ははじめて読んだ。繊細なレース編のような触れると壊れてしまいそうなガラス細工のようなデリケートさをかんじた。いくつかのお話の主人公の雄二という少年のもつ繊細さから、中勘助の銀の匙をふと思いだした。 「気絶人形」「屋根の上」「誕生日」などが好みだった。 また、分冊たなっている「毬」原民喜の人と作品についてのエッセイもよかった。すばらしい文章に出会えた。2021/04/13