内容説明
「歌い、そして自分を信じなさい」タゴールの歌は教えてくれる、別離、貧困、矛盾、あらゆる苦境を乗り越える力が、自分のなかにあることを。同名の映画を監督した佐々木美佳による、もうひとつの『タゴール・ソングス』。
目次
私はチットランゴダ(花から花へ;タゴールの国歌;満月の夜 ほか)
赤土の道(ストリート・チルドレン;美しき故郷;レコードのなかのタゴール ほか)
暗闇のなかの名もない道で(ハウラー橋の向こう側;恵みの雨;歓喜の歌 ほか)
ひとりで進め
著者等紹介
佐々木美佳[ササキミカ]
映画監督、文筆家。1993年、福井県生まれ。東京外国語大学言語文化学部ヒンディー語学科卒業。2020年、ベンガル人のあいだで愛されている、タゴールが作詞・作曲した歌“タゴール・ソング”を探しにいくドキュメンタリー映画『タゴール・ソングス』で監督デビュー。2022年にはダッカ国際映画祭に出品(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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buchipanda3
107
「スラボン月の雨のように 降りそそぐ あなたの音楽が 私のなかに染みわたる」。タゴールは非西欧圏で初めてノーベル文学賞を受賞したベンガルの詩人。彼の詩、そして歌は今でもベンガル地方の老若男女に親しまれているそうだ。著者はそのタゴール・ソングスを求めて現地へ向かう。そこで巡り合った歌い手たちの歌声と自らの生きる道を語った言葉を著者は丁寧に包み込んで優しく届けてくれていた。常に目の前に在る大地、光、水、風、花にのせて想いを歌うタゴールの詩は凛としていて、歌い手たちの糧となる。いや誰にとってもそうだと思えた。2022/05/04
佐島楓
69
タゴールのことはノーベル賞を取った方程度の知識しかなかったのだが、これほどインドやバングラデシュの国民に広く愛されている詩人だということを知って驚き、またその一端に触れることができ幸せだと思った。詩のひとことひとことに何とも言えないみずみずしさがあるのだ。遠い国に住むわたしにも心動かされるものがあったのだから、老若男女問わず作品が受け入れられ、生き続けるのも当たり前だと感じた。日本ではベンガル語の文学というものがあまり受け入れられていないと思うので、何とかして読んでみたい。紹介してくださった著者にも感謝。2022/04/21
konoha
56
思ったより小さく、素敵な本だった。ドキュメンタリー映画「タゴール・ソングス」の監督がベンガルでタゴール・ソングとは何か探した旅の記録。インドの詩人、タゴールが作ったタゴール・ソングは実際にインドとバングラデシュの人々の中に息づいている。大学生のオノンナ、高校生のナイーム、お父さんのようなオミテーシュ、姉のようなプリタ。それぞれ環境は違うが自分の思いを歌に重ねる。タゴール・ソングは夢や祈り、癒やしだと感じた。作者とともに旅しているように現地の空気感が伝わってきた。映画を撮るきっかけも興味深い。2022/07/21
けんとまん1007
55
タゴール・ソングス。タゴール・・・微かに耳にしたことのある名前。手に取ってよかったと思う1冊。映画は知らないのだが、文章を読みながら、その光景が脳裏に浮かび、人々の息遣いが感じられる。それだけ、タゴールという存在そのものが、日々の営みの中に深く広く根付いているからだと思う。タゴールは詩人・作曲家など多様な面から紹介されるようだが、自分の中では哲学者だと思う。まさに、営みとともにある哲学であり、その表現として詩・歌などがあるのだという理解。ここから思い浮かべるのは、岩手における宮沢賢治だろうか。2022/04/29
Y2K☮
32
版元は三輪舎で、著者は映画「タゴール・ソングス」の監督。タゴールの作品や経歴、名前すら知らずに生きてきた己に愕然とした。アジア人初のノーベル賞(文学賞)受賞者なのに、学校で教わった記憶がないのはなぜか。三者の人生模様に合わせて紹介されるどの作品も生々しく訴えてくるが、帯に書かれた詩が最も染みる。わかっていてもなかなかできないこと。タゴールはきっと一歩を踏み出せた人。怖くなかったはずはない。取り組みやヴィジョンがジョン・レノンに近いと感じたが、時代はタゴールの方が先。どういう人なのか気になる。映画も見たい。2025/04/15
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