感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
(C17H26O4)
72
黒いビニールのごみ袋に絶滅危惧種の植物が刺されている刺繍作品の本。刺繍作家は西アフリカで黒いごみ袋が木を覆い尽くすような光景を見たことをきっかけに作品を制作したとのこと。野に何かを捨てるのにかかるごく短い時間、分解される(として)のにかかる時間、植物の出現にかかる時間。作家が「時」に馳せた思いが時間をかけて刺した刺繍から伝わってくる。黒のビニールを背景に植物の刺繍はどれもとても美しく、そこから様々な景色や物語が見えてくるよう。押し付けがましくはないけれど、メッセージ性は確かにある、力のある本だと思う。2022/05/31
ベル@bell-zou
22
ひと針 ひと針。けっして自然と溶け合わない 黒いビニール袋に 壊れないよう ゆっくりと 息づくはずのない 生命を吹き込んでいく。それに応え 彼らも静かに たしかな根をはる 長い時間を積み重ねてきた 勲章を誇るように。>>何も訴えかけてはこないけれど、黒いビニール袋に密やかにしかし凛と佇む植物たちの声なき声に、そっと耳を傾けるような時間だった。2022/06/12
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